屏風岩・雲稜ルート(2014/9/1315

メンバー/中嶋・小林、椿尾・迫間、吉田・森田

 

ちょうど1年前、9月の3連休に企画したが天候悪で中止、11月の初旬の3連休にも再度企画したが、こちらも天候悪で中止

1年越しの願いが叶って、ようやく今回の天気予報は3日間とも晴れマーク!ついに憧れの屏風岩だー!

 

9/13()晴れ時々曇り:

6時、宝塚集合。椿尾、椿尾妻、中嶋、迫間、小林の5人は椿尾さんの車で、平湯へ向かう。

森田・吉田は本来は辰巳さんと明神の予定だったが、諸事情により辰巳さんが参加出来ないかも?ということで、ひとまず電車・バスで上高地へ向かうとのこと。

椿尾カー組は12時頃、あかんだな駐車場に着。タクシーに5人全員乗って5500円ということで、バスと値段が変わらないので、タクシーで楽々上高地まで。

準備を整え、13時頃、上高地バスターミナルを出発。途中、明神で、森田さんと中嶋さんの間では恒例だという「ぶどう酒」で入山祝い。(中嶋L、ご馳走様でした。)

16時頃、横尾着。さすが3連休、テント場は盛況。

中嶋さん、椿尾さんで明日の渡渉ポイントの偵察に行ってもらい、女性陣はテント設営と夕飯の準備。

17時過ぎ、偵察隊が帰ってくる。

7月の水量が多い時は「核心」と言われる渡渉だが、この時期はかなり水量も減り、10歩ほどで渡れるとのこと。さらにロープも張ってくれたとのことで、ひと安心。

ちょうど気候もいいので、外で食事とする。

今日の食担は小林。メニューはご飯とゴーヤチャンプルー。米は5合炊いて、残りは明日の朝食に。芯は無かったが、炊飯器で炊いたご飯には敵わない。改良の余地あり

夕食も食べ終わり、軽く入山祝いの宴会をしていた19時頃、森田さんと吉田さんが到着。

やはり辰巳さんは来られないということで、二人も屏風に登るということだが、明神での厳しい登攀を想定していた二人に屏風の雲稜は少し物足りないよう

どのルートを登るかはっきりしないまま、20時過ぎには全員就寝。気温もちょうど良く、よく眠れた。

 

9/14(日)晴れのち曇り:

3時起床。昨日炊いたご飯の残りで作った雑炊を食べ、4時過ぎに出発。森田・吉田組は一足先に出発。

20分ほどで岩小屋跡。そこから左の河原に出て、昨日、張ったロープを手掛かりに渡渉。

水量はふくらはぎ真ん中くらい。そろそろ冷たさがしんどくなるかな?という10歩くらいで無事対岸へ。ビーチサンダルはここに置いていく。ここで森田組に追いつく。

ちょいと所用(内容はお察し下さい)のため、先に行ってくれと中嶋さんに告げると、「道、分かりにくいぞ」と捨て台詞を残して行ってしまった

「ならば、待っててくれればいいのに」と思いつつ、必死でヘッドライトの後を追い、生い茂る草を分けて進むと、がーん、また川が

それもさっきより深くて流れも強い。対岸にヘッドライトが見える。

みんなどこをうまいこと渡ったんだろうと周りをキョロキョロするが、良さそうなポイントはない。

右後方にヘッドライトが見えたが、違うパーティだと思い込み、対岸のライト群に早く着いて行かねばと靴のまま、正面を突破。

当然靴も靴下もびちょびちょ。にも関わらず、前を行くヘッドライトを完全に見失った、ががーん。

確か、事前の調べによると石の押し出しを進むとT4の取り付きだったはず、と目の前の白い石の押し出しをしばらく行くと、倒木に赤いリボンが付いていた。

踏み跡もしっかりしているし、ここに違いないとそのまま進む。

ちらちら見える遠くのライトにはなかなか追い付けないが、少しずつ空も白み始め、遠くに屏風の岩壁が見えてくる。

40分ほど登り、すっかり明るくなった5:20頃、前方の岩壁の基部に人がたまっているのが見えた。

写真で見た通りだし、これがT4尾根に違いない。が、待っている人たちの中にアルデメンバーが居ない

待っている人に聞くと、私以外には来ていない、とのこと。がががーん(早くも今日3度目の「がーん」である)。

前のライトは別パーティだったのか、私を探しているんだろうか。でも戻るのも逆にややこしい。

必ずここに来るはず、とひとまず列の最後尾に並んで、みんなを待つ。このときすでに5パーティほど前に居た。

10分ほど待つと、残りの5人が到着。どうやら2回目の渡渉の時、右後方に見えたのがアルデだったらしく、渡渉した先で私を待っていてくれたらしい。

ご心配おかけしました。ああいう状況では、別行動取ってはいけない、待っていて欲しいと言えば良かったと反省。

さて、ここで登攀具を身に付け、ひたすら順番を待つ。なかなか日が当たらなくて寒い。

びちょびちょになった靴と靴下はここに置いていき、乾かすことにする。

1時間半ほど待って、すっかり日が出た7時過ぎ、ようやくT4尾根に取り付く。

順番はT4基部への到着順通り、中嶋・小林、椿尾・迫間、吉田・森田の順。

 

「混み合うT4尾根取り付き」

 

T4尾根、1P目」

 

1P目(30mW)、小林リード。中嶋さんは難しそうな右側から登れとしつこいが、それは無視し、前パーティが登っていた左のスラブから登る。

「結構悪い」と事前に聞いていたので、それほどビビらず登れた。

太いロープが残置された支点で切る。(というか、前パーティに続いて登っているので、ピッチを切る位置は必然的に決まる。)

2P目(40mX−)、中嶋さんリード。途中、岩が立ってきてなかなか難しかった。

ここでロープをほどき、後は灌木帯を歩く。最後チムニーがあるが、固定ロープもあるのでロープは出さなかった。

T4尾根を登り切ると、写真で何度も何度も見た雲稜ルート1P目、顕著な凹角が秋晴れの青空にきれいに伸びていた。

ついにこれを登る日が来たー!!とテンションが上がる。

先行パーティのうち2パーティほどが右の東稜ルートに行ったようで、取り付きに着いた時点で1パーティが待っている状態だった。ここでのんびり休憩する。

事前の相談で、中嶋さんからは好きなピッチを登っていいと言われていた。

悩んだが、やっぱりこのきれいな凹角と名物の3P目(ボルトラダーのアブミルート)を登りたいということで、奇数ピッチをリードさせてもらう。

すぐ前のパーティのうちの一人は、フリーで登るのを目標にしているとのことで、トップは空身、セカンドが荷物を背負うスタイル。

セカンドの人は「荷物が重い」と文句を言いながら、登って行った

そしていよいよ私の番!8:45頃、前パーティが半分ほど進んだところで登り始める(1P目:50mX)。

はなからフリーで登ることにこだわりはないので、最初の小ハングで早速セルフを取ってちょいと休憩。

左壁に何にもないが、A0でぐいっと登る。続いて次のハングももちろんA0。ひとつめのハングの方が難しかった。

2個目のハングを超えて右に出るとテラスに到着。ふたつ前のパーティが切ったと思われる終了点があった。

もう一段上がろうかなと思ったが、「ロープいっぱい」とのことで、ここで切る。18本ほど持って行ったヌンチャクもきれいに使い切った。

 

「雲稜ルート1P目」

 

2P目(40mX+)、中嶋さんリード。正面のピナクルを越えて右へ。早速ロープがピナクルに完全に引っ掛かる。

ロープの流れを考えてひとまずここで切って、私が登り、再び中嶋さんリード。

出だしから早速難しい。ピナクルに乗って、ビレイ点上のリングボルトに何とかヌンチャクを掛け、そこから右にトラバース。

このトラバースが怖かった。そこから二つ目のピナクルまで右上。この間も怖いトラバースがひとつあった。ピナクルからは左に登り、扇岩に出る(ここは易しかった)。

扇岩からの3P目、ボルトが連打された有名なアブミのルート。

ちょうどふたつ前のパーティが登っており、1パーティが待っている状態。

こちらも写真で見たまんまで、またまたテンション上がる。(私はどうやらミーハーらしい。)が、思ったよりも短く、少し安心。

扇岩はいい確度の「背もたれ」状になっており、快適快適。ここでしばらく休憩。

フリーで登ろうと果敢に挑戦する前パーティを応援する。

フリーでは5.11+とのことだが、出だしから早速難しく、何度か挑戦したが、結局諦めてアブミで登って行った。

 

3P目」

 

11:203P目(35mA1)、小林リードで登り始める。

支点が悪いと聞いていたが、確かにリングの抜けたボルトの穴に細ーいシュリンゲが数本掛けてある支点が多い。

それでもボルトやハーケンもあるので、それらでランニングを取る。途中一カ所、左のフリー用のペツルに届いたので、安心の為、そこでもランニングを取った。

細いシュリンゲはまさにいつ切れるか分からないロシアンルーレット状態だが、

ボルト自体はしっかり入っている感じで、シュリンゲも数本掛かっているので、それほど恐怖は感じなかった(なるべく、そーっと乗ったが)。

支点感覚も近く、あぶみの最上段に乗るまでもなく、楽々次の支点に届くので、フィフィも使うことなく、登り切った。

よっぽど百丈や駒形のハングの方が難しいと思う。念の為、細いシュリンゲも持って行ったが、付け替えることもしなかったし、ヌンチャクも使い切らなかった。

3P目の終了点は古いロープが掛かった支点で、ハンギングビレーの形になる。

ハンギングビレーの割にはあまりいい支点でないので、ビレイをしていた前パーティの人に「ここでいいんですよねぇ?」と思わず聞いてしまったが、他に見当たらないし、ここでいいんだろう。

私が登っていた間に太陽も陰ってきて、風も出てきた。

セカンドの中嶋さんが登ってきたら、一枚羽織ろうと思ったが、場所が悪いので諦め、次のピッチの終了点は良さそうなテラスなので、そこまで我慢することにする。

4P目(40mW+、A1)、中嶋さんリード。

少し直上して右にトラバースし、右上のフレークの下へ。

そこからハング下のバンドに上がり、右にトラバース。前パーティも「怖い怖い」言っていたが、中嶋さんも「こんなに怖かったかなー」と言いつつ、トラバースしていく。

ヤッケも羽織れず、寒さで凍えながらビレーする私は、薄情にも早く登ってくれることだけを考えていた

あんまり寒いので、場所は悪いが、登る前にヤッケを着て、いざスタート。

私はフレーク下の右のトラバースではアブミを出して、体を振り気味に右の縦フレークを取った。

その次のバンドは、上がると上がハングしているのでまともに立てず、赤ちゃんのハイハイ状態になる。

キャーキャー言いながら、終了点のテラスに渡った。

高度感が凄まじく恐怖のトラバースと聞いていたが、確かに恐いもののけっこう面白かった。

ここより、2P目のトラバースの方が怖かったかな?

 

4P目で3パーティ集合!」

 

5P目、小林リード。(トポでは、この5P目は4P目と一緒にしていた。)ルンゼを右に渡ると、このルンゼを直上するようにボルトがひとつあった。

このボルトに導かれて、直上しそうになるが、難しそう。

右を見ると草付きに踏み跡がある。ここでトポを確認。正面のルンゼはトポに「悪い」と書かれたルートだろう。

素直に簡単そうな踏み跡をたどると、岩にボルトがあった。

ここを登るといい土のテラスに出て、終了点があった。左手のルンゼにボルトが打ってあるので、これが次ピッチだろうということで、ここで切る。

ビレイのセットをしていると、上から前のパーティが懸垂で降りてきた。

左のルンゼの向こうのカンテにも終了点&懸垂支点があるらしい。ビレイしている私を見て、「そこが終了点だったのか!」と言っていた。

どうやら前パーティは私が登りかけた「悪い」というルンゼを登ったらしい。

6P目(40mX+)、中嶋さんリード。

テラスから左に出て、ルンゼ状スラブを登る。トポには「快適なスラブ」とあるが、傾斜もあるし、湿っていて苔も付いているし、全く快適では無い。

一部、アブミも出した。中嶋さんが登っている間、二度、落石あり。

一つはかなり大きく、今まで聞いたことないような「ヒュン」と高い音を立てながら落ちて行った。

もう少しで中嶋さんに当たるところだった。おそらく屏風の頭まで抜けようとしたパーティが落としたのだろう。

 

5P目」

 

7P目(30mW)、小林リード。草付きのルンゼを登る。

難しくはないが、なんか気持ち悪かった。登っているとき、中嶋さんから「黄色のロープは傷んでいるから、青のロープでランニングを取って」と言われる。

後で見たら外被が完全に切れて、懸垂などしようものなら一発で切れそうなほど傷んでいた。

おそらくさっきの落石が当たったのだろう、全くひどい話だ。

それにしても、中嶋さんはロープ運が無い。こないだの谷川での私の宙ぶらりん事件でロープを痛め、買ってから剱で一回使っただけのこのロープも、早速ダメになるとは

さて、事前の話ではこの終了点から懸垂で下降するということになっていた。

ロープ残り25mあたりから、懸垂出来そうな終了点を探すが見当たらない。

左の方に、古い太いロープがグルグルに巻かれているのが見えたので、それかなーと登って行くが、懸垂用の残置ビナはなかった。

もう少し登ってみようかとも思ったが、30mのルートなので、これ以上登ると次のピッチに入ってしまいそう。

太いロープの終了点の下にRCC2つにシュリンゲが掛かっていたので、ひとまずここで切る。

登ってくる中嶋さんに懸垂ポイントを探しながら登ってもらうようお願いするが、やはり見つからなかった。

6P目の終了点にはビナが掛かっていたし、7P目はパッとしないルートだったので、6P目で下降すれば良かったね、と話しつつ、シュリンゲとビナをセットして懸垂を開始。

傷付いた中嶋さんのロープは使えないので、次に登ってきた椿尾・迫間パーティのロープを使う。

まずは6P目の終了点まで。7P目を登り始めていた吉田・森田パーティにはこれ以上登らないように言う。

4人で懸垂は時間が掛かるので、私はここから吉田・森田パーティに入れてもらい、31組で懸垂していく。

2回目の懸垂は私たちの5P目終了点ではなく、前パーティ使っていた懸垂支点まで。

3回目は、4P目の恐怖のトラバース、フレーク下まで。4回目は扇岩テラスまで。ここから屏風岩に向かって左下の大テラスまで下る。

踏み跡もあったが、念のため、ロープ1本で懸垂した。

大テラス正面の岩にシュリンゲやロープがいっぱいぶら下がった懸垂支点があったが、角度が悪くなりそうなので、少し下ったところにある懸垂地点を使った。

ここから50mいっぱい懸垂し、雲稜ルートの取り付きに戻る。懸垂の度に、どっちのロープを引いたら抜けるのか分からなくなり、

赤ロープ引かなきゃいけない時に「青引きだ」と言ってみたり、逆に青引くところを「赤引きだ」と言ってみたり、毎回逆のことばかり言って、他の2人を混乱させてしまった。

しまいには吉田さんに「わざと言ってんか!」と、突っ込まれる始末5分と持たない自分の記憶力がつくづくイヤになった

この辺りから暗くなり始める。T42P目終了点までは一部懸垂、草付きは歩いて下る。クライミングシューズだったので滑りそうで怖かった。

T42P目終了点に着くころ、完全に日没。

暗闇の中、2回懸垂し、T4尾根取り付きに戻る。8月の谷川といい、最近残業ばかりだ

取り付きに干しておいた靴と靴下は完全に乾いていた

気持ち良く履き替え、ハーネスなども外して、後続の3人を待つ。雲も出ていたが、上の方は星空。気温が下がってきたが、私は防寒具を羽織って少しウトウト

ここまで戻ってきて少し安心だが、渡渉が待っているかと思うとまだまだ気が抜けない。

吉田さんは靴下履いて渡ろうか、クライミングシューズ履いて渡ろうか、など森田さんと作戦を練っている。

そうこうしていると、後続パーティも到着し、全員で下山開始。石の押し出しも、下りにくいかと思ったが、大したことなかった。

途中、渡渉の助けに木の棒を拾う。そして、いよいよ渡渉ポイントへ。

せっかく乾かした靴と靴下は濡らしたくない。慎重に渡渉ポイントを探し、裸足になって渡る。

朝はビーサン履いていたので分からなかったが、裸足だとかなり滑る。

恐る恐る渡り始めると、上流の方でばしゃーん!とひっくり返っている人が居て、動揺が走るが、惑わされないように慎重に渡り、無事一回目の渡渉終了。

2回目の渡渉は、朝、残しておいたビーサンを履いたので、滑りにくかった。

これで本当の安全地帯まで戻ってきた!ホッとしていると、中嶋さんがスネから血を流している

ひっくり返っていたのは中嶋さんだったよう。さらには靴も靴下もびちょびちょ。

聞くと、靴のまま渡渉したらしい。こんな夜中にびちょびちょにする人の気が知れない。夜のうちに乾くわけないし、朝、濡れた靴を履かねばならないのに

その上、替えの靴下も持ってきていないらしい。にも関わらず、やたら開き直っているのが不思議でならない。度胸がいいのか、ただのやけくそなのか、理解に苦しむ。

それはさておき、後は平らな道を歩くのみ!がんがん飛ばして21時過ぎに横尾のテント場に戻る。

河原で冷やしておいたビールを回収し、早速、今日の登攀の祝杯!

やっぱり下山後のビールは最高だなー。厳しい登攀のあとは美味さ倍増!!それも憧れの屏風に登ってきたんだもの!!

森田・吉田組は夕飯を持ってきていないというので、私たちの夕飯を6人で分けっこする。

今日は迫間さんのどん兵衛乾麺+お揚げ・豚角煮トッピングだった。

4人分だったが、みんな疲れていたので、6人で分けてちょうどいいくらいだった。

周りのテントはみんな寝ているので、宴会もそこそこに就寝。今日も疲れと満足感で良く眠れた。

 

9/15(月)曇り:

5時半頃、テント場も騒がしくなり始めたので起床。

朝食を作っていると、隣のテントの森田・吉田組がやってきた。

早目に下って、高山見物して帰るとのこと。この二人のことだから、酒蔵巡りに決まってる。

止める人が居ないので、飲み過ぎて帰れなくなる、という事態にならないことを心の中で祈りながら、お別れの挨拶。

我々は中嶋さんのマルちゃん製麺(醤油味)+メンマ、チャーシュー、ねぎ、味付け玉子という「正しいラーメン」の朝食。

昨日は暗いうちに出て、暗くなってから帰ったので、屏風岩全容を見られなかった。

初屏風の椿尾・迫間・小林は、写真撮影に。結局岩小屋まで行かないと見えなかったので、往復40分ほど掛かったが、改めて見る屏風は迫力があった。

思えば、7年前。山を始めたばかりの頃、涸沢の帰りに、群馬の師匠から屏風岩について、初めて教えてもらった。

そのときはこんな岩壁登る人の気が知れない、と思ったが、まさか自分が登れるようになるとは

私の中で屏風岩はひとつの登竜門だったので、感慨深かった。

 

「屏風岩全容」

 

感慨に耽りながら、横尾に帰ると、中嶋さんが朝からビールを飲んで、すっかり気持ち良くなっていた。せっかくの感動も薄れる

8時過ぎ、横尾を出る。徳沢で、下山祝いのソフトクリームを食べ、観光客で混み合う上高地に戻る。

帰りもタクシーを利用したが、料金は6500円とのこと。行きは5500円だったと主張したが、「松本のタクシーだから松本に帰る分も入っている」などと言う。

どうせ松本には戻らず、上高地でまた客拾うくせに、全く納得がいかない。

次からは乗る前に絶対値段聞くんだ!ぷんぷん。

それでも、この混み合う時期に、行きも帰りも待たずにタクシーに乗れて、時間の節約にはなった。

その後、平湯でお風呂に入り、「茶々」でとろろご飯を食べ、渋滞に巻き込まれながら20時半頃、大阪に帰った。

 

*トポは「チャレンジアルパイン」を参照した。ピッチグレードもここから引用。

 

文章/小林