八ヶ岳 (赤岳主陵)

20151228日〜1230日  メンバー:松並、松村

12/2812/30の日程で八ヶ岳 赤岳主陵ルートへ

今回、冬合宿に参加できなかったので、松並さんと二人で行くことに

冬のバリエーションというのと同期2名だけでの登攀という事で、出発前から緊張感でいっぱいだった。

それも初めて,雪の岩場をアルパインスタイルで登るとあって不安もあった。

12/27 2140梅田発の高速バスに乗り、12/28 640に茅野駅に到着

そこからタクシーで約30分美濃戸口へ 登山届を投函し,軽く朝飯のおにぎりを食べて出発

美濃戸山荘を超え1時間ほど歩くと雪道になったが、2030cmほど積もってるていどだった。

ただ天気は最高によく,気持ちよく歩けた!今日がアタック日なら最高なのにと話ながら歩く

1145 行者小屋へ到着、テントの設営をし,少しゆっくりした後

足馴らしと取付きの確認をしに空荷で下見へ、本当に天気が良く風もない

稜線がハッキリと見え、時折立ち止まり振り向いて景色を楽しみながら文三郎尾根を登って行く

一般道ロープの外側に小さなケルンが積んであり、そこからトラバースするようにトレースがついてある

その先には取付きであるチョックストーンが確認できた。明日のルート確認をしテントへ戻る。

一般道からのトラバースへの分岐

 

取付のチョックストーン

 

少し早目の夕食の支度をしながらビールで入山祝いをし、温かい食事をいただきながら

焼酎のお湯割りを少し頂き、明日への期待と不安を抱きながら就寝

12/29 600に起床 朝食の準備をしながら明るくなりつつある天候を確認する。

700の段階ではガスっており、もう少し天候の様子を見る事に

800過ぎ天候は変わらず、とりあえず準備して取付きまで行くことにする。

出発準備をしハーネスなどの準備の際、ゲイターのファスナーの取手がちぎれるアクシデント

指でつまんで上げてみるが、タイト目のゲイターなので固くてなかなか上がらない。

強引に素手で引上げ、指を怪我しながらなんとか上げる事ができた。やれやれである・・・

915BC出発、汗をかかないよう、体力を温存しながらゆっくりと取付きをめざす。

天候は相変わらずで視界はガスってあまり良くない。

1030トラバース分岐へ、ガスった状態で経験のない二人はトライするかどうか悩むが

一組だけ取付いているのが確認できたので、取付のチョックストーンまで行くことにした。

そこで最後の確認をしスタートすることに、時間は1045登攀準備にとりかかる。

気象予報では悪くない予報だし、良くなってくれる事を祈りながら黙々とザイルを結ぶ

スピードや慣れてないことも考え、出発前急遽シングルロープに変更したので

シングル1本でいく事にこれが後々正解だったことになった。

アタックの朝テント付近とアプローチ

 

1P:松村リードで1100スタート、雪が少ない為チョックストーンは越えずにくぐり

裏から登って行く感じでスタートなので慎重に行く。トポでスタートの下部が少しやらしいと

書いてあったのでどこや、どこやと思いながら登っていくと終了点が見えた!

思ったほど難しい所はなく最初の1ピッチ目を切る

2P:松並さんリード最初3m程の垂直の岩場だが問題なくリッジを登って行く

フォローはスピードを意識して登ろうと話あっていたのでビレー解除の声がかかると

準備に取り掛かりOKと共に迷わず登っていく。出だしは順調

3P、4Pと特に問題はなく雪の少ない緩斜面を登っていくが、途中ボルトが少ないなぁと気づく

NPで取るにもこれはいいねと思う所がなく気休めで取るような感じで進む

雪で埋まって見つけ出せないのか、そもそもさほど難しくないからないのか?

この頃に急にガスが引き、一気に青天が広がる!絶好の天候にテンションも上がってくる!

5P:大きく岩を右へ巻きながらトラバース途中ペツルが1本打ってあるが

ここはロープ出さなくていいだろと思いながらスルーし垂直の壁にあたる

ここでロープを出すのだが、ビレーヤーがセルフを取る場所もなく、スタートの45mが

細かくて気持ち悪い。それでもってボルトもなく無理くりちょこっと出た岩でプロテクションを取る

ここで落ちたらワンクッションして下までだなぁと思うと余計に慎重になる

さほど難しくはないのだが、細かい部分にツメを効かすと結構岩質がもろいので剝れそうな気がする

ロープは屈曲するがあの途中のペツルで取るべきだったか・・・と思いながら慎重に抜けていく

安全な場所へ入りこの辺で切れるだろうと思い終了点を探すが見つからない

探していると左上5mほどのところに捨て縄がかかっているのが見えたので、

そこまで登っていくと残り2mぐらいのところで違うことに気付くが、ここでのクライムダウンは危険と判断

一旦登りその地点で松並さんをビレーする。その支点の正体は自分と同じく間違えたクライマーが

残して行ったピナクルにかかったテープスリングとカラビナだった・・・「またやってもうた」と呟く

迷ったところまで松並さんに登ってきてもらい。その辺りに終了点がないか探してもらうと

立派なペツルが2本あるじゃあーりませんか。さほどきつい傾斜ではないのでその残置を使い

ロアダウンのシステムでフォローしてもらいクライムダウン左下へのダウンなのでビビりながらなんとか

松並さんの元へ1520分のロス すみませんでした。

6P:ビレーしてもらった流れでそのまま自分がリードで緩斜面を登り3040m登ったところで切る

相変わらず天候はばっちり!北アルプス、御嶽山まで綺麗に見える!高度感も出てきて

自然にニヤニヤしながら景色を眺めつつフォローの松並さんが登ってくるのを待つ

時折強い風にのって雪煙が下から吹き上げてくる。一気に体温が下がり震えも出てくる。

時計を見ると1430「遅いな」、後どのくらいかな?と思い始める1500には抜けたいと思っていたので

急に焦りも出てくる。

阿弥陀岳を望む

 

7P:松並さんリード、少し雪のかかったゴツゴツとした斜面を登って行く

ビレーをしながら、雪がないせいかずっと足元が不安定で、ピッケルも効かない

手掛かりは雪で覆われている。慣れないせいかずっと難しさを感じていた。

8P:稜線が近くなってきてる。あと2,3ピッチだな!と感じる

簡単な緩斜面をアイゼンを効かしながらスピーディに登っていく、ここで一気に高度を上げたいという

思いでぐいぐい行く。2m程のチムニーにぶち当たりそこで錆びたハーケン2本にプロテクションを取り

越えようとすると「残り5m!」のコール 足場が急でこのハーケンで支点を取るのは気持ち悪いなぁ

とは思いつつ、そこでセルフを取り松並さんを引き上げる。

このチムニーを超えるとほぼ最終だと思うと伝え、場所が悪いので良い所があれば

早めに切ってほしいと頼んで松並さんを送り出す。

赤岳主陵から文三郎尾根の登山者を見る

 

8Pを登る

 

9P:松並さんリード、2m程のチムニーを超えると下からは姿が確認できずロープの動きだけを読む

その頃から風が強くなり始め、下からの吹き上げに何度も叩かれる。

天気はいいが風がやたらときつい、これが八ヶ岳特有の風なのかと思いながらじっとロープを握る

気付けば夕方の様相、影が多くなり気温が下がったのか体が寒さで震える

10m程ロープが出たあと25mまで一気に出て行く!抜けたか!

「ロープ半分」のコールをするも風で聞こえないのか返答なし

そこでロープが止まり、3m程出てはまた戻る。大きく声を出し返答を待つが返答なし

,3回出ては戻りを繰り返す。風がどんどん強くなってくると日が落ちてくるのとで焦り出す。

しばらくするとビレー解除のコール、OKのコールで一気に登って行く

終了点付近まで行くと風はさらにきつくなる。

しかし最終の緩い斜面はロープをまとめ一気に強風の中、駆け足でランアウトし頂上へぬけた!

頂上はまともに顔をあげれないほどの吹雪いていて、自分達以外は誰もいないもう遅いのだ・・・

小屋の陰で、ロープをザックに突っ込んで早々に下山開始、時間は1615になっていた。

とりあえず150200m下に見える赤岳展望荘へ、時折強風体勢を取りながら足早に降りる

小屋に到着すると東方に夕闇に富士山が綺麗に見え、ほっとした感じになったが早く降りなければ

地蔵谷尾根に入り高度が下がってくると、風はなくなりゆっくりと下山、1720テントに到着。

とりあえず疲れたので道具の整理などは明日にする事にし、装備を外し大きなポリ袋に無造作に

放り込んでテントへ潜り込んだ。疲れた!しばしぼーっとする。

乾杯のビールも日本酒も凍っており、お湯を沸かしコーヒーと紅茶でとりあえず乾杯。

気が付けば出発から水分も何も口にしていなかった。とりあえずお互い緊張がとけて

何もする気がなく、しばし温かい飲み物と行動食をかじり言葉少なにじっとしていた。

その後松並さんの味噌煮込みうどんに解凍した日本酒をいただき2200就寝

12/30 700起床 天気は朝から稜線がハッキリ見えるぐらいのいい天気、風もない!

今日は帰るだけ、だらだらと朝食を済ませ、だらだらと昨日の装備の片付け、帰り支度をし

940行者小屋出発!赤岳を振り返ると文三郎尾根には長蛇の列がはっきりと見えるほどいっぱいだ!

今日からが一番人が多くなるようだ。行き交う人も多い。

少し筋肉痛の体に帰りのザックは少し重く感じたが、達成感と満足感は十分にあった。

雪少ない凍った道を、バランスを何度も崩しながら美濃戸口へ、雪が少なすぎる。

途中の美濃戸山荘で美濃戸口までタクシーを呼んでもらい、1230美濃戸口到着

1610の茅野駅発のバスまで時間があるので、タクシーの運転手さんの紹介で

玉宮温泉 望岳の湯 という市営の温泉で風呂、メシ、ビール、仮眠とゆっくり過ごす

1540に迎えのタクシーを予約しておいたので茅野駅へ、そこから高速バスにて帰阪の路へ

2230梅田到着。基本3日間天候に恵まれた山行は無事終了! 記憶に残る山行になった。

【感想】

今回、同期の2人(オヤジ2人)で経験も浅く、技術的にもまだまだな自分が

行けるのだろうかと言う緊張と不安が多いスタートとなりました。

取付き、スタートを切った時には絶対抜けてやると言う気持ちに変わるも

素晴らしい景色に高揚したり、環境の変化、ミスに落胆したりする中

自分たちだけで判断し、行動する楽しさと辛さ色んな思いを感じれた山行になりました。

その分達成感や充実感も大きかったし、反省点や課題も多く見つけられました。

結果的には自分にとっては素晴らしい、記憶に残る山行になったことは間違いないでしょう。

また、新たな高みをめざしてオヤジなりに頑張りたいと思います。

※意外と安くて、空いててよかったです。

玉宮温泉 望岳の湯

茅野市玉川6128番地2  TEL 0266-82-8833

大人 ¥400

文章/松村