2015.9.24-26 北鎌尾根 山行記録

メンバー:松並、川平

 

予定:

9/24 上高地〜水俣乗越〜北鎌沢出合

9/25 北鎌沢出合〜北鎌のコル〜槍ヶ岳山頂〜槍ヶ岳山荘

9/26 槍ヶ岳山荘〜上高地

 

9/24 5:30 上高地にて松並さんと合流。天気はどんより気味で、明日以降の山行に影響がないか心配しながらも、山の話題で尽きること無く槍沢ロッジまで楽しく歩を進める。

槍沢ロッジで小休止中に下山中のカップルから話しかけられ、シルバーウィーク期間中は人が多過ぎて、槍ヶ岳山荘のビールや酒類全て売り切れたとの事。

又、次回の荷揚げが3日後()らしく、ここでビールを購入する事とした。

槍沢ロッジを過ぎた頃からポツポツと雨が降り始めた。

何とかもって欲しいと願うが大曲から水俣乗越までの急登を登っていくに連れいよいよ本降りに変化し、テンションダウン。

 

12:30 水俣乗越に到着。縦走登山者と出会い、今からこの天上沢を下り、北鎌尾根を明日行くと言うと相当驚かれ、

この雨で行くのは相当危険だとの事で説得されるも、とりあえず無視して沢を下ることに。

なかなかの急坂のザレ場ではあったがそれほどの危険箇所も無く、間の沢()との合流ポイントまで下る。

水が何処かにないか探すも全くの枯れた沢で、仕方なく水を探しながら、北鎌沢の出合付近まで来るとやっと水が確保可能な沢を発見。

2Lほどを確保し、あとは本日の野営ポイントを探しながら少々下ると他パーティのテントが見えた。

取付きの北鎌の沢も直ぐそこにあったので、我々もそこにテントを張ることとした。

テントの中では明日の行動予定をおさらいしつつ、20:00消灯。

 

9/25 3:05 本来起床時間は3:30としていたが、近くで水流の激しい音が聞こえているので気になり目覚める。

外の様子を伺うとテント入り口の目と鼻の先ほぼ1m先が激しい川に変貌し、入り口と反対側の足元は既に川の一部と化し、テント内にも浸水が始まっていた。

直ぐさま松並さんを起こす。松並さんも「これ、めちゃヤバイやつや!」と言い、二人とも急いでカッパを着、何はともあれテントの移動を開始。

他パーティのテントは1m程高い位置にあり、問題は無さそう。

雨が降りしきる中、安全地帯へと先ずは移動が完了するも、真っ暗な為、周りの状況が全く見えず、とにかく昨日の景色とは全く違うものがそこにあるという認識だけはできた。

一歩間違えば、流されていたと思うと背筋が凍る。

 

 

取り敢えず安全確保が出来た為、朝食にラーメンを食べるが、雨足は強くなったり、小康状態になったりを繰り返す。

依然濁流の音だけは異様な状態で、時々外の様子を伺うが暗くて見えない。

明るくなり、外に出て周りを見渡すと異様な光景に目を疑う。

天上沢はそうでもないが、北鎌の沢は水流激しいことこの上なし。ここを登るのかと思うとテンションダウン。

松並さんと相談して、もう少し様子を見る事にして、テント内で今後の行動予定を練る事とした。

 

6:00過ぎに他のパーティの声が微かに聞こえたが、結局何処に行ったのか不明のままだった。

依然雨音が激しくテントを叩きつける。

このまま北鎌尾根に突っ込んで行きたい所であるが、上下カッパと水を含んだザックもあり、無茶は出来ないという結論に至り、水俣乗越まで引き返す案が最有力とした。

一応1日予備日は設定してあるが、ラジオも携帯もつながらない所では明日以降の天気に自信も持てず、もし遭難や滑落すれば、アルデにも迷惑がかかるとの判断で、計画書の行動計画を基本と考えた。

 

8:00 行動開始。昨日きた道を水俣乗越まで登り返すのだが、雨が小康状態になり、若干ではあるが上空のガスも消えかかっていた為、

このまま上手く行けば北鎌のコルくらいには行けるんじゃないかと思い、登って来た天上沢を1時間かけて引き返し、北鎌の沢を登り右股と左股の合流ポイントまでくるが、

やはり濡れた岩場と濁流に難渋し、引き際が悪かったが、さらに天候も悪化した事もあり、今の天候と実力ではやはり危険と判断した。

 

10:00 野営地を再び出発。2時間ロスしたが、あとはババ平まで帰るだけでありある意味余裕があったが、これが間違いだった。

沢は濁流で、一歩間違えばかなり流されるであろう。水に濡れた岩場は滑り易く、何度も転倒し膝を強打した。

又、途中どういう訳けか道を間違え、本来天上沢を登るのに間の沢をガンガン登っている事に気付く。

上空はガスで目標も見えず、目の前だけに集中し過ぎて感覚だけいくとかなり怖い事を実感する。

GPS(iPhoneの山と高原の地図アプリ)での位置確認ができた事はこういう場合、非常に役立つと思った。(過信は禁物だが)

折角登ったのに下るのもしんどいと思い、左の尾根を藪漕ぎをしながら天上沢に戻ることにするが、ザックが木に引っかかったり、足下は滑るのとで難渋したが、30分程で藪漕ぎを抜ける。

天上沢は水量こそ少ないがザレ場の急登で涸沢カールから前穂の34のコルへの登りのザレ場を思い出す。(そこまでは厳しくは無いが…)

 

 

14:00 水俣乗越に到着。小休止し、行動食と水分補給。朝テルモスに入れたホットコンソメスープが濃過ぎ&超ぬるく、余計に水が欲しくなり、冷えた身体が益々冷える。

 

15:00 ババ平到着。寒すぎて水俣乗越からはトレラン選手並みのスピードで駆け下りる。

 

今夜はうなぎの蒲焼、サラダチキン、魚肉ソーセージ、チーズ、パン、ワインで祝杯()を上げつつ反省会。相変わらず雨は降り続き携帯の電波も入らず21:00消灯。

 

9/26 5:00起床。雨は止んでおり回復傾向が伺える。遅めの朝食を済ませ、7:00出発。雨は完全にあがり9:00横尾到着。めちゃくちゃ天気良くなっている事に二人とも落胆。

登山客からは「私達は運が良い〜」などとあちこちから聞こえるが、逆にそれが腹がたつ。僕らは雨の中歩き回っただけ…しかも寒すぎて槍の頂上すら行っていない。

携帯ここでも圏外だし、au解約したいと心底思う。

 

9:40 徳沢到着。ようやく電波回復!早速下山連絡を書いている間に心配メールが届く。役員の方々、ご心配をお掛けしました。

 

14:20 大阪行きのバスに乗込み上高地をあとにした。

 

所感

無理をすれば雨の中でも行けたかも知れない。ただ、夏合宿時、北穂東陵を会長が雨で断念した事を思い出し、無理は禁物と言い聞かせた。

たらればになるが、もう1日我慢すれば天気も回復し、楽しい山行になったかもしれないと正直悔しい。

今回行きたい気持ちを抑え、引き返す決断をした事は、二人にとって良き経験であったと思いたい。

 

写真/松並 文章/川平