八ヶ岳・中山尾根&小同心クラック(2015/2/20-22

メンバー/中嶋・小林

 

2/20()

いつもの新大阪始発の新幹線で茅野へ向かう。

立ち食い蕎麦で時間を潰し、バスで美濃戸口まで。平日の金曜だが、さすがは雪山シーズン真っ只中。バスはほぼ満席だった。

2月とは思えないほどの陽気で、出発も昼近かったので、いつもは凍って怖い林道もさくさく歩き、赤岳鉱泉へ。

中山尾根の取り付きは分かり易いので、偵察も行かず早速飲む。

明日、中山尾根、あさって小同心クラックを登って、帰阪する予定だが、あさっての予報は悪い。小同心クラックは無理かな

 

2/21()

5時、赤岳鉱泉発。行者小屋に向かう道を行き、中山乗越で道を分かれ尾根を登って行く。

さすが人気ルート、トレースあるので迷うことはない。6時半、中山尾根の取り付きへ。

 

 

中山尾根は下部岩壁と上部岩壁に分かれている。トポによると下部の1P目がV級+、上部2P目がW級で最高グレード。

なぜだか昨日からニット帽を忘れたことがやたらと気にかかる。どうでもいいことが気になるなんて、なんか嫌な感じだ

他のパーティが来る気配もなく、天気も良く暖かいのに、なんだか闘志が出ない。W級なんて登れる気がまるでしない。

となると1P目のV級をリードしなくちゃ、と思うが、どのラインを登っていいか、全く見えてこない。一体、どうしてしまったんだろう

正面のペツルのラインより、少し下った右のルンゼの方が登り易そうにも見えるが、ピンがない。

結局、気持ちが乗らぬまま正面のペツルに向けて離陸するが、早速1ピン目掛けたところで、行き詰ってしまう。

いつもなら「えいや!」と覚悟を決めて、体を上げれるのが、今日は全く出来ない

中嶋さんの罵声にも闘志が出るどころか逆にどんどん弱気になり、ついにはリードを代わってもらう始末。そのことでますますショックを受ける

中嶋さんも一カ所、悩んだところがあったが、左上気味に登り、ピッチを切る。

セカンドで登り始めるが、心はまったく戻らず、さっき行き詰った1ピン目で早速モタモタ。

セカンドにも関わらずセルフを取って休憩。と、下から来るパーティが見えたので、こうはしていられないと何とか登る。

こんなんだから、中嶋さんが悩んだところも当然モタモタする。上からロープをぐいぐい引っ張られる。

中嶋さんの苛立ちが伝わってきてますます焦る。(後で聞いたところでは、落ちるんでないかと張り気味にしてくれていただけだそうですが

どう登ったかよく覚えてないが、なんとか1P目を登り切る。中嶋さんのイライラが恐ろしい。

2P目は簡単なトラバースから尾根上に出るだけ。なのに、もう怖くて怖くてしょうがない。2P目も中嶋さんにリードしてもらう。

ここからは雪稜をコンテでしばらく登り、下部岩壁の基部に着く。ここの2P目が核心。

V級をリード出来ない私にW級なんて、とても無理。それどころか、もうどこもリードしたくないくらいだが、それは許されないので1P目をリードする。

普段練習している蓬莱峡より簡単なくらいなのに、またもやモタモタしてしまいガッカリ。

2P目、トポ上は最高グレードのW級をフォローで登る。かぶっているが、支点も豊富でガバだらけなので、ここはスムーズに登れてホッとする。

ここから数ピッチ、つるべで登って、稜線に出る。

風も無く、絶好の登攀日和なのに心が負けてる自分に悲しくなる。

この時点で9:45。明日は崩れる予報なので、中嶋さんはこのまま小同心クラックに繋げようと言う。

「全部セカンドなら行きます」と言うが、一笑されて終了

大人しく稜線上を横岳方面に歩き、横岳すぎたくらいで大同心へと向かう尾根に下って行く。

昨年11月に大同心を登った時、この下り口は確認しておいた。

懸垂ポイントがあり、2回懸垂して大同心と小同心の間のバンドに降りる。ここから小同心の基部へ登って行く。

小同心クラックは3P。どこをリードしようかウジウジしていると、「奇数をリードしろ」と面倒くさそうに言われ、大人しくその言葉に従う。

1P目は一段上がって左のクラック(というよりルンゼ)に入る。

天気も春の陽気で、すっかり中山尾根でビビっていたので、オーバー手袋は外して登る。

岩も凍っておらず完全に出ていたので、折れた心でも順調に登れた。

私はルンゼの途中で切ってしまったが、上のテラスまで伸ばした方が良かった模様。

そこからツルベで、特に失態も無く登り切る。

3P目、先行パーティは左を登って行ったが、私は右のルンゼを登った。

また、最後の岩壁は中嶋さんがリードしたが、支点が無く恐そうだった。(先行パーティは諦めて、左の雪面をトラバースしていたが、それもかなり悪そうだった。)

 

 

稜線に到着すると、中嶋さんが先行パーティの若者二人とお話している。

うちの会の辰巳さんと知り合いらしい。東京のG登攀クラブとチーム64のお二人だそうです。

「一日で中山尾根と小同心クラックとは頑張りましたね」というようなことを言われ、今日初の優しい言葉に心が安らぐ

休憩後、さっきと同じく大同心への尾根経由で下る。

何だかんだあったが、5時に出て、2本登って16時には戻れたんだから、条件が良かったもののよく出来たほうだろう、と自分で自分を慰める。

が、夜は私への説教祭りとなり、また悲しい気持ちで床につく。

 

2/22()

崩れる予報だったが、わりといい天気。

悔しいので、中山尾根1P目をリベンジして帰りたいくらいだが、気持ちだけで体は付いて行かないので、普通に下山。

いつものように美濃戸口でお風呂に入り、茅野から新大阪へと帰った。

 

文章/小林