2016430

JR住道駅 1000

松村号には松村さん、辻さん、松原さん、近藤 4人で出発

2300 黒丸PA 到着

大内さん夫妻と小林さんが後ほど到着。東海自動車道では重大事故で通行止めになっていたため、長良川で一旦休憩をはさみ、荘川で降りて下道を走った。

201651

300 あかんだな駐車場着

330までゲートが開かないため、ゲート手前で路上駐車して仮眠を取ることに。一睡もできなかった。

500 起床・準備

雨が降ってきた。そういえば松原さんは雨男だと噂では聞いていたが、実は僕も雨男なので天気が心配になった。

雨男二人が揃えば雨を通り越して逆に晴れないのかなと楽観的な気持ちでカッパを羽織り、出発した。

550 バス発車

630 上高地バスターミナル

そこまで人は混雑しておらず、ゲイターを装着し岳沢に向けて出発

登山口-岳沢まで約2時間半。やはり今年は雪が少ないらしい。


900 BC岳沢到着

6テン1張 2テン1張

小屋が開いていたため水も汲めるのでよかった。トイレも本当に綺麗でこんな贅沢な場所がBCだなんて。

ビール1本500円。下界から4本持ってきたので2000円浮いた。

1000 雪上訓練・偵察

雪渓上でのスタンディングビレイ、座りこみビレイ、滑落停止、スノーバーの使い方、スコップ懸垂を大内さんに教えていただいた。

その間、小林さんは明日の偵察ということでコブ沢を登っていった。

相変わらずガスっていて山頂が全く見えない。風も強く寒かった。

雪訓が終了し、テントに戻り南稜ルートの偵察に出かけた。

1600 夕食

焼肉という斬新なメニューにしたものの焦げてお肉が上手く焼けない。フライパンを持っていくか迷ったがやはり持っていけばよかった。

初めての食担で不安だったが、小林さんのアドバイスで野菜と肉をぶちこんで一気に炒めた。主食が少なくてみなさんに申し訳なかった。今度の食担は今回以上に頑張りたい。

夕食を終えると全員で明日のミーティングを行った。

コブ尾根隊  小林さん、辻さん、僕

南稜隊    大内夫妻、 松村さん、松原さん

両隊ともに早朝4時に出発することに。

僕と辻さんは新人のため、雪渓歩きが問題なくこなせるか懸念された。自分自身も傾斜がきつい雪渓歩きは初めてでどうなるかわからない。

岩はともかくアイゼンワークにまだ慣れていない僕はどれほどついていけるのか。急に不安になった。

とりあえず一回目の懸垂ポイント、マイナーピークに7時までに到着しなければ引き返すことになった。

だが、せっかく初めて合宿に来たのでピークに立ちたい。そう思うと、とにかく死ぬ気で小林リーダーについていこうと思った。

昨日から一睡もしていないので酒のまわりも早く、明日に備えて早々に寝ることに。とはいってもみんなよく飲むのでつられて結構飲んでしまった。

2000 就寝  

寝る前に星がでているか見てみたが、全く見えなかった。明日は晴れるのだろうか・・・。

不安のあまり寝付けるか心配だったが一瞬で眠りにつけた。

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230 起床

朝食は大内さんのカニ雑炊。行動中はあまり飲み食いができないので今のうちにたらふく食べておこうと腹いっぱい食べた。

水分も多めに取った。食事を終えると出発準備。完全ビバーグできる装備で出発することに。

400 出発

風が昨日よりも落ち着いている。アイゼンを装着し、雪渓を歩く。コブ沢は岳沢小屋の左側の小ルンゼをあがっていく。

だんだん夜が明けてくる。トレースが全くないため、3人で交代しながら歩くが昨日の新雪で所々、膝上ラッセルが続いたので少々、足が重い。

そういえば、今回の目的はピークを踏むことより雪渓歩きに慣れることを思い出した。

歩荷トレでは結構歩けるが、雪渓になるとやはり辛い。なにが違うのか。歩きながら小林さんと辻さんの歩き方を観察した。

ピッケルを突き刺し、右足を移動させ、続いて左足を移動。その繰り返しを自分の中でリズムをとりながら歩く。

傾斜が変わるごとに足を開く角度を変えてみたりしてみた。

ピッケルの突き刺す位置はどの位置がいいだろう。色々思考錯誤しながら歩いていくと傾斜がきつくなってきた。

傾斜がきつくなるとピック部分を指しながら四つん這い状態で両手両足で歩く。

傾斜がきつくなる方が歩くのは楽に感じたため、どんどん先頭をきってしまった。心の中からワクワクして楽しくなった。無意識に体が勝手に動く。集中している証拠だ。

630 マイナーピーク着 

予定時間よりも早く取り付けた。ここからもう降りてしまえば頂上を目指すのみだ。

懸垂ポイントを見つけようと支点を探すが、雪で塞がって見つからない。これでは懸垂できないのでは・・もしかして、昨日のスコップ懸垂なのか?

そんな事を考えていると、小林リーダーが「ここに涙型の溝を掘って〜♪」と。なにをするのかなと思いながら辻さんと必死に溝を作ると小林さんが「ここにロープを掛けておりるよー♪」 

(・・・。え、これで??)本日が冬季アルパインデビュー戦となる僕は、正直まだ死にたくない(笑) なんて事は言ってられない。

恐る恐るロープに体重を預けながら小林さんが降りていく。「お、効いてる効いてる♪」と一言。

さすが小林リーダー。余裕の表情でした。後々聞くとスノーボラードでの懸垂は初めてだったらしく、驚いた。(笑)

 


スノーボラードでの懸垂

岩場取り付き前

 

 マイナーピーク懸垂後、再び雪渓歩きが始まった。依然として、雪渓歩きに夢中の僕は先頭を歩き、どんどん高度を上げていった。


  

700 

岩場に取り付き 空が晴れてガスがなくなってくる 

後続パーティーが僕たちと同じようにスノーボラードで懸垂しているのが見えた。

730 

1p目 支点:尖ったピナクル岩とハイマツ 

左にまいて急な雪渓を上る  


 

 2p目 支点:ハーケン一本+岩 

少し左にトレースし、岩場を登る。 一ピン目はハーケン?(少し曖昧)あり 

そのあとはスリングを岩に巻いて支点をとっていた。120スリングがあれば安心。


 900

3p目 支点:ハイマツ枝+岩 

雪とハイマツが混ざった道を右にトレース。右側が少し切れ落ちていて少し怖かった。

ここでコールの声が聞こえずかなり時間ロスしてしまった。ヘリコプターと風の音でコールが聞こえにくい。

3p目を登りきった時、無線で南稜組からの報告が入る。

松原さん、松村さんは問題発生で下山しているとの事。

大内夫妻は、当初予定であった下山ルートを変更。吊尾根の状態が悪く、安全ルートとして涸沢から徳沢を経由し、上高地から岳沢へ戻るため、帰りは深夜になると報告があった。

とりあえず、全員怪我なく連絡がとり合えてよかった。この日は救助ヘリも多く遭難事故が多発しており、後々調べると奥穂高周辺で滑落事故により二人死亡していた。

4p目 支点:ハーケン二本

始めが少し難しく足の置き場がないため、少し小さいクラックにアイゼンの前爪を立てて上る。その後は、とくに問題なく登れた。


 

 

4pにてコブの頭に到着し、岩にある捨て縄で懸垂し、U峰とのコルへ下る。1130

 

 その後は、コンテなしで雪渓を歩いていく。

気温が高くなり雪質がかなりやわらかくシャーベット状態のためピッケルとアイゼンの効きが悪い。ところどころ踏み抜いてしまう。

女性二人は、すいすいと歩いていく。

途中、ぼくは右足を踏み抜き、バランスを崩して後ろ向きに滑落した。「あ、やばい・・。」と思ったが、その一瞬はかなりスローモーションに感じた。

冷静に滑落停止の態勢に入った。集中できていたのかわからないが、生まれて初めての感覚だった。

ぼくが無言だったせいか、何事もなかったように、辻さんと小林さんが歩いている。

小林さんがとっさに振り返り、「だいじょうぶ〜?」と問いかけに「大丈夫です!」と大きく声を出して返答した。

 前半の雪渓歩きで飛ばしすぎたのか、かなりガス欠していた。笑

集中力が切れているのか。後もう少し、もう少しと自分に言い聞かせて呼吸をしてゆっくりのリズムで雪渓を歩く。

ついに稜線にでた。空は青く透きとおっていて晴れていた。

右側にジャンダルムが見えた。


1230 コブ尾根頂上

 

 写真を撮り、少し小休憩。

無事に頂上を踏めたのでよかった。だが、油断は禁物。集中を切らさないよう

ここから天狗沢を目指し天狗のコルまで一気に下る。

下りの雪渓は本当に怖く、先ほど滑落したことを不意に思い出し時々弱気になってしまう。

集中力を切らしてはいけないと思いながらバックステップで下る。途中岩場に雪がないのでアイゼンをはずした。

1430

天狗のコルに到着。再度アイゼンを装着し、ここからBCまで一気に下る。BCが見えてほっとした。

テントに戻れば、、冷えたビールが待っている。。

馬の鼻先にニンジンをつけたかのように、ぼくの目の前にはビールがあった。

天狗沢はすごく歩きやすく、リラックスできた。3人で話しながらゆっくり下る。

辻さんがシリセードをしてはしゃいでいた。辻さんはいつも元気だなー。

 


 天狗沢の下り

 

1530頃 BCに到着。3人で祝杯を上げた。すごい安堵感だった。

こんなに旨いビールは初めてだった。そういえば、朝、出発時もビールの事を一瞬考えた。

コブ尾根頂上を登り終えてからBCに戻ってきて飲むビールはさぞかし旨いんだろうなと。

それが実現したことで達成感、安堵感がなんとも言えない。これはまた山はやめられないなと思った。

1700

南稜組が無事下山。

三人で祝杯をあげていると南稜組の松村さん、松原さんが無事BCに戻ってきた。

松村さんの肩が悪化し、登り始めて間もなく、松原さんのアイゼンが外れるというハプニングもあったため下山。懸垂下降を何度も繰り返し、下ってきたみたいだ。

1800 夕食

夕食は、辻さんの具たくさんのお鍋。美味しく頂きました。

そして、明日下山することになったので余っているお酒やつまみを平らげる。ワインも調子よく飲んでしまい、みんなで2本空けた。

2100 就寝

201653

700 起床・朝食

昨日の鍋の残りを頂いた。

大内夫妻は無事に帰ってきていたが、疲れ果てて夕食も食べずに寝ていた。長い一日ご苦労様でした。

900 岳沢BC出発

1100 河童橋着

大内夫妻がデポしていた荷物を回収し、バスターミナルへ向かう。観光客が多く、無事に下山したことを再認識する。

穂高を見上げるとさっきまであそこにいたのか。コブ尾根はあれか。と妙に気になった。

自分はあんな所にいたのか。初日よりも雪が少ないと感じた。明らかに山の顔が違った。

1130 バスに乗り込み駐車場に到着。平湯バスターミナル近くの温泉に入り、高山西インター近くの中華料理屋で昼食。

大盛を頼むとかなりの量で食べられるかなと思ったが、余裕で食べれた。ただ僕以上に、松原さんの食欲はすごかった。

昼食を食べ終えると、大内夫妻と小林さんと別れ大阪へ向けて出発した。

車内では終始会話が絶えず、一瞬で大阪に到着した。松村さん、運転ありがとうございました。

・感想

今回、アルデ春合宿に初参加し、多くのことを学んだ。

初日の雪訓では雪渓上でのシステム作りやビレイ方法、滑落停止のやり方を教えていただいた。初日の練習のおかげで、本番での滑落も対処できたので自信もついた。

雪渓歩きはやはりまだまだで、下りの時にバックステップに頼りがち。

安全第一だがスピードも大事だと思うので、早く雪に慣れていきたいが、シーズンが終わってしまうのでフリーのレベルアップと体力作り、来シーズンは沢山、冬登攀山行に参加したい。

そして、なによりも今回参加したことで冬壁に魅了されたこと。山がまた好きになったことがなによりも嬉しかった。

あの傾斜がきつい雪渓にはずっといたくはないが・・。なぜだかまた行きたくなる。

あの場所にいる心理状態は自分が自分でないみたいで、感じたことのない感覚だった。

常に危険と隣り合わせなのは十分承知であるが、もっとレベルアップを目指してたくさん色んな山に登りたいと切実に思った。

文章・写真/近藤