●日程:7/29-31

 ●メンバー:川平、松並、辻
●予定:
7/29
 上高地〜横尾〜大曲〜水俣乗越〜北鎌沢出会
7/30
 北鎌沢出会〜北鎌のコル〜独標〜槍ヶ岳〜肩の小屋
7/31
 肩の小屋〜小槍〜肩の小屋〜横尾〜上高地

昨年は大雨で敗退し、今年はそのリベンジ山行。自称スーパー晴れ女(?)の辻さんを加え、祈る気持ちで今年こそは踏破したい。

7/28(
)
22:00JR
大阪駅桜橋口 サッポロビール前集合。松並さんが仕事の関係で20分ほど遅れる。

辻さんのエクストレイルには既に寝床(何故かお布団が敷かれていた)が用意されており、なんとも準備がいい。

聞くとソロハイクの際も常に準備しているらしい。車内ではこれから望む北鎌の話で盛り上がりつつも、やはり深夜の運転は疲れる。この日は辻さんと川平が最後まで運転。
運転中はカーステから流れるサザンが異様に眠気を誘うが、ガマンしつつも辻さんが付き合ってくれたので、何とか耐えることが出来た。

途中、運転交代してもらうと逆に今度は興奮状態のせいか、いざ寝ようとしても寝られない。なんとも上手く出来ていない。
 
 8/29(
)
 3:30
あかんだな駐車場着。4:00までは駐車場に入れない。先着は2台あり。自分も少し
 
仮眠をとろうと目を瞑るが全く寝れない。。。
 
そうこうしている内にゲートオープン。昔はどこでも直ぐに寝れたのに、なんだか歳を感じると思いつつ、仕方なく支度を始める。
 
上高地までの往復切符を買い、4:50の始発バスに乗り込む。

どうやら道中10分程は寝れた(記憶が無かったので)が、今度はそれで逆に眠くなってた。

ここで少し寝たい気分だがそんなことも言っておれる状況でもないので、トイレを済まして歩き出した。
 
いつもなら早朝のすがすがしい上高地なのだが、今日は一睡も(正味10分睡眠しているが…)していないので、身体が気持ちのいい朝と認識をしてくれない。
 
しばらく歩いているとサル群れに遭遇。メス猿の背中には赤ちゃん猿がいて、超かわいい!流石、これには癒され目が醒める。
 
横尾で大休止後、槍沢のマイナスイオンを感じつつ緩やかな登りを軽快行く。もうこの頃になると眠気は完全に醒めていた。

 10:00槍沢ロッジを経て、ババ平のテン場に出ると日差しが厳しくなってきて、大量の汗をかきはじめた。最終水場なので、念のため1L程補充。
 
大曲で小休止後、11:30から登り始める。ここはかなりの急登であり、重いザックが肩に食い込む。

昨年はここから大雨になってきたが、今日は晴れてて暑い。

まあ雨よりは晴れの方がいいけど、少しくらい風でも吹いてくれればよいのだが。。。

1.5時間かけやっと水俣乗越に到着。
 
松並さんが、昨年の苦い思い出、「ぬるく濃いコンソメスープ事件」を辻さんに説明を始め笑いを誘う(詳細は昨年の記録をご参照)。
 
草付きからガレガレを下り雪渓にでるも、かなり滑りそうなので左側の傾斜地を進んだ。

その後、長い枯れ沢を下ると漸く15:00北鎌沢出会に到着。昨年の苦い経験もあり、今回は一番高い所に幕営をする事にした。
 
松並さんと辻さんは食後もワインを飲んでいたが、自分は眠気には勝てず早々に就寝。

ちゃんとシュラフに入ってなかったので、お腹を冷やしてしまい、翌日はゆるかった。。。
 
 7/30(
)
 
深夜から雨が降り始め、結構雨脚も強いのがテンと内からでも十分に感じとれる。
 
枯れ沢だったはずが、今は普通の沢で水の流れる音が聞き取れる。幸いにも、昨年程の轟音はしないので、時間をずらせばいけると直感した。

 3:00起床、まだ雨が降っていたが、朝食を作り、出発に備える。

うっすら明るくなったところで外にでると周りが見えてくる。昨年レベルではないことが確認でき、一安心をする(ホント昨年は酷かった)。
 
やはりテントは高い所に設営しておいて正解だった。昨年の幕営地(低い場所)は完全に川の中状態。

漸く雨も弱くなってきたので、カッパを着て6:50出発。予定より約3時間遅れ。今日中に肩の小屋到着は諦め、最終水場で一人1.5+2Lの計3.5Lを担いで行く事とした。
 
途中沢が二手に別れており、右・左どっちにするのかを迷う。人間は19000回の選択をするという。私は左の方が上り易いと考えそちらに皆を導くがこれが間違いだった。
 
あとで気付くがもう遅い。途中で沢は終わり、草つきになるがこれがややこしく、完全に藪漕ぎ状態。

ただでさえ水に濡れて滑り易いのにここまでくればもうどうしようもない。どうやら、ここがクライマーズホイホイ?であったらしい。

 10:00北鎌のコルには通常より1.5時間ほど遅く到着。雨は上がっているが全体的にガスに包まれ、視界は悪い。

岩がどの程度濡れているのかが心配であるが、そんなことを言っても仕方がないし、虫がすごいので、そんなに休ん
 
でも居られない(この時期は虫除けスプレー等は必須アイテムです!)。
 
独標までは大した岩場もなく、ルートも明瞭で、特に難しいところはなく、迷うことも殆ど無い。
 
ロッジの織田さんからは、独標直登ルートを進められていたが、荷が重過ぎてとても行けるとは思えず、やはり右巻きでいく。

完全に切れ落ちているところをいくつかを越え、14:30頃頂上に到着するが、どうやら独標は過ぎ、P11に来てしまったようだ。

GPSでも独標上に居ないことが確認できた。。。
 
本来なら槍が観えるはずだが、ガスで全く見えない。さてここからが北鎌で難しいと言われ、ルートファインディングを誤れば、とんでもないところに行ってしまうらしい。
 
しかし、辻さんはすごいなと感心。キレ落ちた所も平気な感じでガンガンいくし、写真もバチバチ撮るし、なんか岩場にめちゃめちゃ慣れていて、非常に頼もしい。
 
その後も、先行者の踏み跡をしっかりと追うが、偵察跡なのか途中で消えていたり、変な残置スリングが残っていたりと非常に迷い易い。
 
何度も引き返したり、ルートを探したりと右往左往しながらも前に進む。

ホント松並さん、辻さんの協力が無ければ、ここルートファイは厳しかったと思う。改めてルーファイの難しさを思い知った。
 
途中ハーケンに残置シュリンゲが残っていた岩場があり、偵察含めザックを担いだままここを登る(W級レベルか?)も、上がった後はもっと厳しい状態に陥ってしまった。
 
まさか、この荷物でこんなルートは行かないだろう思うが、今度はここを降りるのが超難儀。
 
とりあず今にも抜けそうなハーケンにバックアップを取りつつ慎重に降りるが、今迄で一番怖い箇所であった。(かなり気合入りました)
 
そうこうしていると松並さんからルートを見つけたとの声が上がり、辻さんと声のする方に向かう。
 
一体いくつのピークを登り降りしたのか、そして自分が今どのピークなのかが分からなくなってくる。(実感としては、そこらじゅうクライマーズホイホイだらけです)

 15:50遂にP14へ到着するとガスの切れ間から槍の穂先がうっすらと見えてきた。3人とも自然とテンションは上がる。
 
「イェ〜イ!そうそう、これこれ!これぞ北鎌からの眺め!」と気持ちもよくなる。

ただ、まだP15があるぞ言わんばかりに眼前を立ちはだかっている。よく観れば、先行パーティーの4人組みがP15を登っているのが確認できる。

さて、まだまだこれからと気合を入れ直し、P15を目指す。

この辺りまでくれば、クライマーズホイホイも殆ど無くなくり、疲れているが快適なハイキングになってくる。

特に槍を見ながら歩けるのは気分がいいし、雷鳥さんものんきに歩いている。

 18:30北鎌平(?)と思われるところに到着。良く整地されており、今日はここにテントを張ることとした。

稜線上だが、風は無く、若干肌寒いものの良い幕営地だ。
 
夜になり外にでてみると星も綺麗にでている。明日はいよいよ槍頂上かと思うと、この2日間の疲れも心地よく感じる。

ただ身体が冷えたのか、自分は少し寒気を感じ、今夜のお酒は少し控えめにした。しかし、松並さんと辻さんはよく酒を飲む。
 
 7/31(
)
 3:00
起床、朝食を済ませ4:30にでようとしたが、もう少しで明るくなるので、さらに10分程待って4:40出発。
 
最初は踏み後を辿りつつ左巻きからコルまで上がるのだが、その後は良くわからない。

どこでも行けそうだが、どこがベストなのかと色々探すも、結局は各々好きなところから登り始めてしまう。
 
少し登ったところにレリーフもあり、幕営できるところも2箇所ほどあるので、ここが北鎌平ではないかと気付く。(まあ、今となってはどうでもよいことだが)
 
朝陽が昇り、槍が、山々が真っ赤に染まり、なんとも綺麗な光景だ。

ここぞとばかりに写真を撮りまくる。天気は快晴、風もない。最高の登山日和だ。
 
途中で何度も記念撮影しつつも、先頭を行く辻さんが足早に高度を上げて進んでいく。

最後にチムニーがあるはずだが、特に通った感もなく、ふと見上げてみると我々の2-3m上の直ぐそこに登山者の顔が見えた。

あれっ?もう終わり?って感じで拍子抜け。特に拍手で迎えられる訳でもなく(別に期待していた訳ではないが…)、皆さん自然な感じでした。

若いおにいさんからは「クライマーですか?」と聞かれたが、「ええ、まぁ」と返事を返すも、それ以上話しが続く様子もなかった。

 6:00槍ヶ岳登頂。撮影も程々にして、頂上から小槍をみるとなんか見た目はキビシそうな感じを受ける。

ホントに登れるのか?と疑問を感じつつも、まあ行ってみないと分からないと楽観な自分がいた。
 
登ってくる人も多くなってきたので、我々もそそくさと下山開始。
 
なんせこのあと小槍登攀もあるし、バスの時間もあるので、ここでのんびりは出来ない。
 
小槍の取付きにはどう行けばよく解っていなかったが、上から眺めてみると踏みあとらしきものが見えてくるので、それ程の苦労は無かった。

 7:00小槍取付到着。右カンテルートを行きます。
 1P
目:V 10m 凹角ぽい
 
ホールドも豊富で登り易い。身体慣らしは丁度いい。ロープの流れもあるで、テラスのビレイポイントで一旦きる。
 2P
目:W 30m カンテ
 
通常の右ルートはここからいやらしいフェースを左側にトラバースして、その後、直上するが一般的らしいが、

カンテ沿いの方が景色もよく、切り立った感もあり、迷わずこちらを選択。(簡単だったかも知れないが、、、)
 
途中、薄かぶりのところもあるも、空荷でしかもホールドも豊富。高度感も十分にあり、非常に楽しく登れる。
 1
箇所だけクラックにキャメロット#3決める。まあ無くても良いが安心感はある。そこを越えるとほぼ頂上となり、無数の懸垂用残置シュリンゲが目に入る。

ただ、ビレイはここよりも、すこし左へ寄ったところに強固な支点が打っていたので、そこでビレイすることとした。

 8:30小槍頂上、辻さん、松並さんも上がってきて、登攀の成功を喜び、ガッチリと握手を交わす。
 
その後はお約束のアルペン踊りを踊る事に!
 
「♪アルプス一万丈〜小槍の上で、アルペンおどりをさあ踊りましょう!ラーラーラ、ラララッン。。。♪」
 
※動画は、You tubeにアップしました〜!
 
余韻もそこそこに、懸垂50m一回で取付きまで降り、そそくさと荷物をまとめ帰り支度。

 10:00肩の小屋を出発して、最終18:00のバスに間に合うようにガンガン降りる必要がある。

 12:20槍沢ロッジ着。なかなか良いペースだが、足ががかなり痛くなってきた。

 15:00徳沢園に到着し、やっと携帯の電波が入り下山報告。一旦靴を脱いで、足の痛みを和らげる。

 16:35上高地着。もう歩かなくていいんだという開放感と共に、3日間の無事を感謝し、上高地をあとにした。

 (感想)
 
自称スーパー晴れ女のおかげ()で、天気に恵まれ、昨年のリベンジが出来たことは素直に感謝。

思っていた以上にルーファイは難しく、今回、松並さんと辻さんの協力が無いとこんなにスムーズに行けなかったのではないかと改めて思った。

連れて行って貰う山行では無く、自分たち自身で考え、行動していく事で多くを学び、自分の成長に繋がったのではと感じています。(ホント良い経験ができました!)
 
又、小槍クライミングは面白いので、是非皆さんチャレンジしてみて下さい!ただし、北鎌尾根では重いですよ〜。
 

image2 image3

 

image5 image12

 

image7 image11
 
文章 川平/写真 松並、辻