鹿島槍ヶ岳 東尾根

日付:2018/04/212018/04/22

メンバー:杉橋・椿尾・深美

 

4/20(金)

23:00深美家発→4:00コンビニ(車泊)

椿尾さんのエクストレイルで家まできて頂く。金曜の仕事終わりが遅い為、集合時間を遅めにしてもらう。

3人で交代しながら運転し、登山口である大谷原駐車場から一番近いセブンイレブンで仮眠を取る。

 

4/21(土)

8:00大谷原駐車場→8:40東尾根取付→11:30一ノ沢ノ頭→13:00二ノ沢ノ頭()

天気予報どおりの快晴。コンビニからすでに後立山連峰の雄姿が望めた。

大谷原駐車場には車が8台ほど停まっており人が多そうな予感。

 

橋を渡り、林道を40分ほど歩くと目印となる赤布を発見。

右手の急な斜面から取り付き、赤布と踏み跡をたどって尾根を目指す。

尾根に出た後も、例年より残雪が少ないようで藪漕ぎに悪戦苦闘する。荷物を背負っての急な斜面の藪漕ぎは体力的にきつく樹林帯を突破するまでがこの日の核心だった。

それでも途中抜かしたパーティーから「早いですねー、藪漕ぎ初段ですね」との言葉をかけて頂く。

しんどいけどもがきながら泥臭く登っていく感じは嫌いじゃない。

 

一ノ沢ノ頭にて休憩。景色は素晴らしいが天気良すぎて暑い、暑い。

椿尾さんは途中足がつったようで、登りがつらそうだった。

 

二ノ沢ノ頭までは雪と藪がミックスとなり、細いリッジなどもあり足元に気をつけながら標高を稼いでいく。

【緊張するリッジが続く】

 

テン場となる二ノ沢ノ頭には一番乗り。そのあとぞくぞくと後続のパーティーも追いつき、一大テント村が出来上がった。

日帰りで抜けようとした外国人2人組みが第一岩壁方面へ進んでいったのでみんなで動向を見守ったが、あきらめた様でしばらくすると戻ってきてそのまま下山していった。

 

陽が落ちるまでにはたっぷり時間もあり、外に出てのんびりと過ごす。

その間に杉橋さんが翌日の分まで大量の水を作ってくれた。ありがとうございます。

明日登る鹿島槍から爺が岳まで周囲を山に囲まれ最高のロケーションだ。

ただ日差しが射すように強く、つらい。雪山にいるのが嘘のようだった。

 

【テン場から臨む鹿島槍ヶ岳】

 

夜は杉橋さんのカレー。なんとレトルトではなくスパイスから作る本格派。

独特の香りが食欲をそそる。贅沢にチキンも入り、おいしかったー。

 

4/22(日)

4:00二ノ沢ノ頭→5:00第一岩壁→7:00第二岩壁→8:40北峰→9:50南峰→12:00冷乗越→15:40大谷原駐車場

2時半起床、周囲のテントもすでに行く準備を始めている。

朝食の担当は深美。チゲ雑炊を作ったが少し量が多く、みんなにがんばって食べてもらった。

 

テントを撤収し、2番手でテン場から出発する。先行するパーティーは男性4人組。

抜きつ抜かれつしながら第一岩壁取り付きには先頭で到着することができた。

 

じゃんけんし、第一岩壁1P目は椿尾さんリード。

左側の岩場から取り付き少しトラバース気味に雪稜の上部へ、立ち木でピッチを切る。

続く2P目は杉橋さんリード、少し戻ってから草付きの岩場を登りこちらも立ち木でビレイ。

下を見ると登っている間にも後続が続々と到着し、取り付き付近にはすでに渋滞の列ができていた。

 

一旦ロープを外し第二岩壁までは急な雪稜を登っていく。

視界が開け、周りの山々を遠くまで見渡すことができる素晴らしい景色だ。

だがふと我に返ると、ロープを繋いでいない急斜面の登りがけっこう怖く慎重に登った。

【急斜面をフリーで登る】

 

第二岩壁は深美リード。本来であれば途中から左にルートを取りチョックストーンの方へ進むのだが、直登する方向にもハーケンが連打されていて案外足場もありそうだ。

登山体系に直登ルートの記載があったのを思い出し、ラインも魅力的に見えたのでついそちらの方へ進んでいった。

するとビレイの椿尾さんから「そっちちゃうでー」と声が飛ぶ。

「こっちから行けそうですー」と返したものの、すでに後続のパーティーが集まってきており視線とざわつきを感じる。

そんな中、壁に取り付いたがやはり壁は立っており、ザックも重たく感じられる。すぐにこれは無理しないでおこうとあきらめ、元のルートへ引き返す羽目になった。

 

少し下ったあとトラバースして元のルートに戻ることができたが、中途半端な所にヌンチャクが残ってしまいロープの流れが悪くなってしまった。

チョックストーンを乗っ越す際は落ちそうなくらいロープに引っ張られる感触だった。

上部に抜けたあと右後方に終了点を発見し「ビレイ解除」のコール。

2番手で登った椿尾さんにはヌンチャクの回収に相当労力を使わせてしまい、本当に申し訳なかった。

 

登りだす際にチョックストーンを目指して登ると確認していたのに、途中でルートを変えたせいでビレイヤーに余計な心配とヌンチャク回収の手間をかけてしまった。

ちゃんとチームで決めたルートで登るべきだったし、チャレンジする際は声かけしてコミュニケーションを取る必要があったと反省。

【第2岩壁】

 

鹿島槍北峰までは雪の斜面を快適に登っていき、頂上ではライチョウが出迎えてくれた。

一旦コルまで下り登り返すと鹿島槍の南峰だ。

 

西の方角には立山連峰が連なり、剱岳の雄姿が一際目を引く。

思えば剱岳の山小屋でアルバイトをしていた時、いつも鹿島槍からの日の出をみていていつかあの山に登ってみたいと思っていた。

今まさにその頂上から逆に剱岳のかっこいい姿を見ることができ少し感慨深いものがあった。

頂上から黒部川に向かって延々と続く牛首尾根や対岸のガンドウ尾根を見ながら、「黒部横断」とはこんなスケールの大きいものかと実感した。

そんな思いでいつまで見ていても飽きることのない景色だった。やはり「黒部横断」という言葉には他の山にはない特別な響きがあり、大きな憧れがある。

 

【鹿島槍ヶ岳南峰から剱岳に思いを馳せる】

 

さてここからは長い長い下りが待っている。冷池山荘方面は雪もなくそうそうにアイゼンを外す。

単調でなだらかな下りが続き個人的にはこの区間が一番しんどかった。

ゴールデンウィークに向けての小屋開けの為、物資を積んだヘリが飛んでいる。

一足早く冷池山荘に着いた杉橋さんが山小屋のスタッフに下降路の状況を聞いてくれていた。西沢から下る場合は途中で尾根に上がらなければいけないとのこと。

昨日、今日と気温が高く、沢筋が雪崩れているのを何度も目撃していたため西沢ではなく赤岩尾根を忠実に下ることにする。

上部は雪が腐っていて何度も踏み抜きかなり体力を奪われた。

 

思いのほか時間と体力を消費し、ようやく北股本谷の川辺まで下りてくる。

てっきり橋がかかっているものかと思いこんでいたがどこにも橋が見当たらない。

一瞬まじかーと思ったが砂防ダムの下にトンネルを発見。なんなく対岸へ渡ることができた。

そのあとはだらだら続く川沿いの林道を歩き駐車場へ。

着いた時はもうくたくただったけど、長い一日を終え充実感でいっぱいだった。

 

【感想】

ずっと登ってみたかった鹿島槍ヶ岳をクラシックルートの東尾根から登ることができて良かった。

2日間とも天気は快晴で4月とは思えないほどの日差しが辛いと感じるほどでした。サングラス、日焼け止めは必須です。

人気ルートだけあって人が多く、岩場の登攀の際は後ろの行列がプレッシャーに感じたがそういうときほど落ち着いてシンプルに登ることが大事だと思いました。

そしてやはり360度パノラマの景色は最高で、次はあそこいってみたいとか色々と想像しているだけでも楽しくて次への登行意欲が掻き立てられました。

下りでバテてしまい体力的にしんどかったけど、藪こぎ、岩壁登攀、雪稜歩きと色んな要素があり内容的には大満足の山行となりました。

(文責/深美)