上高地・中千丈沢

期間 2019/3/9-10
メンバー 小林(L、記)、中嶋、今岡、平山
カテゴリ アイスクライミング
ルート 達磨、鷹の爪、一角獣、ジョーズ
行程 初日:24時半江坂→ひるがの高原で2時間ほど仮眠→8:10釜トンネル→9:00〜9:45大正池(テント設営)→11:10〜16:00中千丈アイスエリア(Z、一角獣、鷹の爪見学後、達磨と鷹の爪で登る)→16:45大正池
2日目:6:45大正池→7:45〜12:00一角獣・ジョーズ→12:45〜13:15大正池(テント撤収)→14:10釜トンネル→ひらゆの森→21時大阪

詳細

3/8(金)の晩、残業明けの平山さんにそれぞれピックアップしてもらい24時半に江坂を出発。途中、ひるがの高原SAで2時間ほど車中仮眠して、7時半頃釜トンネルへ。荷物と平山さん以外を一旦降ろす。今日は晴れ予報。上高地ハイキングらしき人たちが続々やってくる。坂巻温泉に駐車してきてくれた平山さんと合流し、大正池に向かう。釜トンネルのすぐ次にもう一つトンネルが出来て、大分近くなった。1時間ほどで大正池に到着。穂高と焼岳を望む池のほとりの一等地にテントを張る。今日は無風快晴でドローン日和。ドローンを購入したばかりの今岡さんは、持ってこなかったことをしきりに悔やんでいた。

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天気がいいので何だかのんびりしてしまい、9:45に中千丈沢のアイスエリアに向かう。アイスエリアへは車道を上高地方面へ5分ほど行ったところにある橋から沢沿いに入る(大正池ホテルすぐ近くの小さい橋を入れると2つ目の橋)。橋の下にテントが張ってあった。明日は雨予報なので、橋の下なら安心ですね。さらに沢沿いにもテントが二つあった。

トレースを辿って15分ほど登っていくと正面に大きな岩が出てくる。廣川健太郎の「新版アイスクライミング」に書いてある「大岩」だろう。本によると雪が少ない場合は大岩の左のルンゼを上がって尾根を越えて沢に戻るとあるが、今回は大岩の右にトレースが続いていて、大岩右の数mの氷を上がっていくよう。先行パーティが準備していた。左のルンゼをラッセルするのも大変なので、先行パーティを待って、私たちも右から平山さん以外はノーロープで登った。(帰りはいささか頼りない木にあった残置シュリンゲで懸垂した。)おそらく距離的には左よりこちらの方が断然早そう。

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そこからもトレースが続いているので楽ちん。さらに15分ほど登って、まだかなぁと思っていると、右に中千丈沢の特徴的なルート「Z」らしきものが見えてきた。が、氷が繋がってなーい!でもどっからどう見ても「Z」。この前に「ハバネロ」「コメット」「ミルキーウェイ」があるはずだが、発達していないので気付かなかった…。おそらくZのすぐ右にあるナメっぽいのが凍るとミルキーウェイなのでしょう…。

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ということで、さらに上に向かうと数分で数10mの氷が見えてきて、数パーティ登っていた。おそらく一角獣。

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かなり各ルートの間隔は近い。とりあえず一番奥まで行ってみることに。次に丸っこい簡単そうな氷が見えてきた。これが「達磨」。さらにしばらく登ると二俣上になり、トレース通り右のルンゼを上がっていくと、難しそうな氷が見えてきて、3人組が取り付いていた。おそらくトポ上で最奥にある「鷹の爪」。難しそうだが、こっちには今岡さんという秘密兵器が居る。今岡さんをそそのかすが、堅実な今岡さんは乗ってこない。登っている人によると、まだ上(二俣上の左)に5本ほど滝があって、うち3本は先週登れたということ。いずれもV級クラスらしいが、せっかくなので行ってみることに。が、これより上はトレースないのでラッセルになる。数分上がってみるが、地形的に滝なんて無さそうな気がする。面倒になって早々に諦め、まずは「達磨」でアップしますか、ということで落ち着く。「騙された」なんて悪態付いていたが、教えてくれた3人組は、その後、上の方に行って、しばらく戻ってこなかったので、本当に何かあるのでしょう。悪態付いて失礼しました。

2011年に来たことのある中嶋さんから「上高地のアイスは固くてすごく難しい。一緒に行ったメンバーも落ちてた」と、前々から脅かされていたが、実際登ってみると、そうでもないので、なんだーなんて思ってたら、上の方に行くと部分的に固くて、油断できない。それぞれ2本くらい登って、「鷹の爪」に移動する。3人組は居なくなっていたので、貸し切り。

一段上がって右奥を今岡さんが登る。バージンアイスで見るからにツルッツルのバーチカル。一段上がるまではそうでも無さそうだったが、上はかなり固そう。アックス振ると表面に亀裂が入るのが見えて、ビレイしててもドキドキする。と、アイススクリュー打とうとしたところでフォールし、バイル残置…。左を登ろうとしていた中嶋さんが代わりのクォークをお届けし、片手ノミック、片手クォークで登り切った。

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<▲右奥に残置バイル…>

一方、左は左で右奥に比べるとポコポコ出っ張りはあるが、こちらもバーチカル。途中、折れた木が氷に埋まって、そこを越えるのに苦労していた。そもそも木があるところなんて登らなければいいのに、アルパインクライマーの中嶋さんはそういうのが好きなのか、単に簡単そうに見えてドツボにハマったのか…(おそらく後者)。でも何だかんだで登り切るので、そもそもセンスの無い私は美しく登る今岡タイプではなく、姑息な技を使っても登り切る中嶋タイプを目指そうと思う。(あ、これ褒めてますからね、中嶋さん。)

時間が無くなってきていたので、右側だけTRで登って終了。固くてテンション掛けまくった。利き手で無い左がどうにも決まらない。中嶋さんは元智弁和歌山野球部の名に恥じず、力強いアックス振りでスムーズに登って行った。技術よりも腕力か?か弱い私には無理なので、V級クラスはまずはアックステンションでいいから登れるようになりたい。

テントに戻って夕食。中嶋さんは前回、大正池の水を飲んだと言っていたので、抵抗あるものの汲みに行く。冬季トイレが近くにあるし、底に苔が生えてるし、水もよどんでいるので、かなり躊躇したが、上澄みを汲んで、苔やら虫やらは見なかったことにした。(もちろん煮沸はしたが、結局、健康被害無し。)晩は暖かくよく眠れた。

2日目:6:45出発。今日は雨予報なので、降り出す前には終わりたい。まずは一角獣を登る。1P目は途中水がジャージャー流れて、シャワークライミング。冷たくて涙出たが、おかげで固くなくて登り易かった。ロープ50mほど伸ばして上がると正面に一角獣の「角」らしき氷がドーンと見えて、オーッとなるが、最後はかなり細いので、登るのは諦める。ていうか、私にはとても登れない。

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一旦降りて、一角獣のすぐ左のジョーズに取り付く。敢えて立ってる部分(短いけど)を狙ってリードした。1P上がると、口を開けたジョーズのギザギザの歯が見えた。口の左側に今岡さんがTRを張ってくれた。長いしバーチカルで難しそうだったけど、いい位置に足を置けるので、快適に登れた。今年一番楽しかったかも。

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このくらいはリード出来るようになりたいなあと思ったところで、昼くらいになり、ここで終了。そして今シーズンのアイスも終了?。アイス強化シーズンとして取り組んだものの、コツを掴んだくらいで終わってしまった。この感覚を忘れずに来シーズンに繋げたいが、単なるゲレンデアイスではなく、やっぱりアルパインアイスが好きなことが分かった。アイスグレードは高くなくてもいいので、黄連谷右俣とか広河原3ルンゼとかに行きたいです。

【装備】シングルロープ2本、アイススクリュー各自5本

文章:小林