アコンカグア山行記録(20191224日〜202014日、ガイド無・単独)

次は南米に行ってみたいなと、休みやすい年末年始で登り易い山を探してたら、アコンカグアしか見つからず、アコンカグアのノーマルルート自体には興味が無かったのだけど、調べてみると一人で登れそう。一人で登れる一番高い山かなと考えると、南米に一人で行って手配することも含めて挑戦しがいが出てきた!6月、会社で腹立つことがあったのを機に、即発券・変更不可の航空券を思わずネットでポチっと…。こんなんで、アコンカグアへの挑戦が始まったのでした〜。

【準備編】

ž  アコンカグアは、ルート自体は簡単なので素人でも登れるが、ビエントブランコ(白い嵐)という風速60mを超す強風に見舞われるとどうにもならないことと高山病で、登頂率は3割と言われている。そこで、日程は日本から出てる公募登山(〇ドベンチャーガイズや○トラストレック)を参考に、予備日も含めて登山期間18日の余裕の日程にした。

ž  一人と行っても、BCまでの荷揚げはエージェントを使うのが現実的と判断。(実際、そのパターンがほとんどで、全て自分で荷揚げしている人には会わなかった。エージェントを通すことで、登山許可費用の割引も受けられる。)「MendozaAconcaguaclimbing」とかで検索して出てきた3ヶ所の会社に問い合わせたところ、Inka社とLANKO社の2社から回答有り。いずれからも、空港と登山口への送迎、メンドーサと登山口のホテル、ムーラによる荷揚げと荷下ろし、BCでの食事がパックになってるのを提示される。結局一番大手のInka社が返信も早くて、一人の場合だと一番安かったので、そこにお願いする。ホテルや送迎は自分で手配する方が安いのかなとかも思ったけど、そのやり取りの手間なんかを考えると面倒になり、そのままお願いする。約6か月前の6月に申し込んだら、早割ということで17%割引きしてくれた。(→現地で会ったエルサルバドル人は「Inkaは高い」と言っていたが、迅速・臨機応変に対応してくれて何も不安が無かったので、私はInkaにして良かったと思っている。)

ž  装備は日本の厳冬期の衣類に加えて、ダウンパンツを追加。靴は公募登山の装備表だとダブルブーツが条件になっており、最後までシングルブーツで行くか、現地でレンタルする人が皆使うプラブーツを借りるか、はたまたマナスルに登ってきたN木さんが貸してくれたオリンポスにするか悩んだ。雪よりザレ場箇所が多いようなので、オリンポスは歩きにくいように思われたが、やはり寒さが心配なので、結局オリンポスを使わせてもらうことに。

ž  高山病対策としては、秋に遠征に行ったテンカンポチェ隊に教えてもらった針中野フィジカルケアの低酸素トレーニングに出発2ヶ月前から、週1〜2回、2時間ずつ通った。

 

【日程】

日付

行動(予定)

行動(実際)

行動時間

標高

12/20

17:40関空→LA

関空→LA

 

 

12/21

8:20ブエノスアイレス(エセイサ空港)→食料買い出し

ブエノスアイレス(エセイサ空港)着 →食料買い出し

 

 

12/22

16:09ブエノスアイレス(ホルヘニューベリー空港)18:01メンドーサ

市内観光→ホルヘニューベリー→メンドーサ

 

 

12/23

INKA支払い、ガス・地図・水購入、登山手続き→ペニテンテスへ

INKA支払い、ガス・地図・水購入、登山手続き→ペニテンテス

 

 

12/24

ペニテンテス→レンジャーセンター→コンフルエンシア

ペニテンテス→レンジャーセンター→コンフルエンシア

3h15m

2720m3400m

12/25

高度順応日(南壁展望台4200m往復)コンフルエンシア泊

高度順応日(南壁展望台4200m往復)コンフルエンシア泊

8h30m

3400m4150m3400m

12/26

コンフルエンシア→プラサ・デ・ムーラス(BC

コンフルエンシア→プラサ・デ・ムーラス(BC

8h35m

3400m4300m

12/27

休養日

C2(ニド・デ・コンドレス)往復(高度順応&高所靴・アイゼン荷揚げ)

9h30m

4300m5500m4300m

12/28

C1往復(荷揚げ&高度順応)

C2(ニド・デ・コンドレス)往復(高度順応&食料・ガス荷揚げ)

8h40m

4300m5500m4300m

12/29

休養日

休養日

4300m

12/30

C1

BCC2

5h40m

4300m5500m

12/31

C2往復(荷揚げ&高度順応)

C3(プラサ・コレラ)往復(高度順応&食料・ガス・アイゼン荷揚げ)

5h20m

5500m5900m5500m

1/1

C2

C2C3(キャンプ・ベルリン)

3h55m

5500m5900m

1/2

C3往復(荷揚げ)

C3→頂上→C3

14h50m

5900m6950m5900m

1/3

C3

C3BC

4n

5900m4300m

1/4

C3→頂上→C3

BC→オルコネス→ペニテンテス→メンドーサ

8h20m

4300m2720m

1/5

C3BC

休養日

 

 

1/6

予備日

ホテルからアパートに引っ越し、洗濯等

 

 

1/7

予備日

休養、買い物

 

 

1/8

予備日(BCに戻る)

ボテガ巡り

 

 

1/9

BC→ペニテンテス→メンドーサ

メンドーサ市内観光

 

 

1/10

帰国準備

市内観光、買い物

 

 

1/11

10:42メンドーサ発→12:20ホルヘニューベリー着、22:00エセイサ発

メンドーサ発→ホルヘニューベリー→エセイサ

 

 

1/12

6:05ロサンゼルス着、12:45

ロサンゼルス着

 

 

1/13

18:15関空着

関空着

 

 

 

【詳細】

12/20()21()

2月の引っ越しを控えている為、午前中、引っ越し屋さんとの打ち合わせを行い、昼過ぎに、90Lのダッフルバックと45Lザックを前後に抱えて、ヨタヨタと関空に移動。11時間×2のフライトで、日本の裏側アルゼンチンに上陸!LAでの乗り換え時間が4時間程度で長くなかったこともあり、それほど苦痛には感じなかった。本当はその日のうちにメンドーサに移動できるはずだったのだが、ブエノスアイレスからメンドーサの国内線が一か月前くらいに運休になり、ブエノスアイレスに一泊する羽目になった。「南米=治安が悪い」をいう強固なイメージがあり、実際、ブエノスアイレスは治安悪いと聞いていたので、ビクビクしながらホテルへ移動する。空港から市内への移動には、バス、タクシー等の手段があるが、大荷物で市内のバス停からホテルへ移動するのが大変なので、バスは却下。流しのタクシーはぼったくられるので、事前で調べた通り「レミース」という定額制のタクシーでBooking.comで予約していたブエノスアイレス市内のホテルに移動。レミースの運ちゃんもホテルの人も優しくて、9時くらいの到着でチェックイン時間よりかなり早かったのに、部屋に入れてくれるし、アルゼンチンの印象いきなりアップ!

ここで寝てしまうと時差ボケになると思い、シャワーを浴びてスッキリしてから、両替&市内散策、そしてメンドーサでの準備時間が少ないのでここで食料の買い出しをする。で、出掛けようとするとパスポートが無い、無い、無―い!!さっきフロントで渡したよな…とフロントに戻り、フロントの人に聞くと、コピー機の上に置き放しにされていて、「おー、ごめんごめん」的な軽いノリで返された…。しっかりせねば…。

気を取り直して、街に繰り出す。何しろ「治安が悪い」と思っているので、「この停まっている車から急に人が出てきて襲われるのでは?」とか「前から来るおっちゃん、強盗では?」と、今思えばかなりの挙動不審だった…。アルゼンチンに多いカルフールで登山中の食料の買い出しをし、日本からも持って来ているしちょっと買いすぎたなと後悔しつつ、アルゼンチン名物のステーキとワインを楽しみ、ついに眠気に負けて、18時前に就寝。是非、タンゴを見に行きたかったが、夜遅くしかやっておらず、そんな心の余裕も無かった為、断念。12時間近く眠り続け、すっかりこっちの時間に対応し、体調もバッチリ!

 

 

 

12/22()

夕方の便なので、それまで市内散策。大聖堂で日曜のミサを見て、サン・テルモというところの日曜市に行く。これがなかなか楽しくて、あっという間に時間が過ぎ、急ぎ足でホテルに戻り、タクシーを呼んでもらって、国内線のホルヘニューベリー空港に移動。18時過ぎに、ついにアコンカグアのお膝元・メンドーサに到着!どうでもいいけど、客室乗務員のお兄さんが恐るべきイケメンで驚いた。Inka社の手配してくれたドライバーが迎えに来てくれていて、市内のホテルに。近くのカルフールで購入したビールを飲んで、さっさと就寝。

 

 

 

 

12/23()

この日はInka社への支払いと打ち合わせ、登山許可証の取得、ガスの購入をし、昼にはアコンカグアの登山口・ペニテンテスに向かわなければならない。9時にInka社へ行くと、鍵が閉まっていたが、覗いたら開けてくれた。メールのやり取りをしていたHildaさんは残念ながら居なかったが、代わりのおばちゃんは肝っ玉母ちゃんぽくて、他のスタッフも皆優しかった。地図に番号を付けてくれていて、「まずはここに行って、このプリントを渡してお金を払って、次にここに行って、登山許可証を取るのよ。12時にホテルに、ドライバーが迎えに行くからね。ペニテンテスではPocho、コンフルンシアではSophia、ムーラスではMikaを探すのよ。そしたら、何とかしてくれるから!」と、私が不安そうにしていたのか、とうとうと説明してくれて、最後に店の前で写真を撮って、「頑張るのよ〜!」的に見送ってくれた。まるで奉公に出される娘の気分…。

 

言われた通りに、まずは登山許可証の支払い。USD800と聞いていたが、為替の関係でUSD720だった。ラッキー。その足で観光局へ。「ソロ?ガイドは付けないのね?」と確認されたが、ものの5分で登山許可証が発行された。植村直己は1か月以上通い詰めて、ようやく許可が下りたらしいが、植村さん、今は女性単独でもすぐに許可をくれる時代になりましたよ。

 

アルゼンチンでは、ATMで下せる現金の限度額が低く、またInka社への支払いや登山許可費用はクレジットカードで支払えない為、20万円以上を現金でビクビクしながら持ってきた。ようやく全ての支払いも済んで、一安心!はるばるアルゼンチンまで一人でやってきて、手続きも自分でやって、スタート地点に立てたことに早くも軽く感動してウルウルしかかるが、本番はこれから!緑溢れる明るいメンドーサの街を歩きながら、気合を入れ直す!

次はガスと地図の購入。日本の雪山だと2人でガス中サイズひとつを一日で使うイメージ。最大9日で、水は15-6Lと日本の2人分くらい作らなければならないので、9つ買おうとする。一応、お店の人に聞くと、「3日でひとつ。9日なら3つプラス予備で4つでいいんじゃね?」と言われるが、不安なので結局5つ買った。

ここまでスムーズに済んだので、のんびりホテルに戻り、予定より30分早い11:30にフロントに行くと、ちょうどドライバーのおっちゃんが迎えに来てくれた。ドライバーのおっちゃんは皆、スペイン語しか話せないので、名前だけ確認されて、あとは信じて付いていくだけ。他のお客さんも一緒なのかと思っていたが、乗客は私ひとり。私の予定に合わせて、臨機応変に対応してくれるので、有難い。

メンドーサはワインの名産地。ブドウ畑を過ぎると、山々が広がる。ヨーロッパともアフリカとも、そしてネパールとも違う風景。赤い荒野と山肌が広がり、アンデスの山々は「乾いてる」というイメージ。途中、若いお姉ちゃんに声を掛けられる。どうやらヒッチハイクらしい。どうせ席は空いているし、「どうぞどうぞ」となるが、そのお姉ちゃんの自転車が車に乗らず、乗っけてあげられなかった。

 

3時間ほどで、ペニテンテスのホテルへ。冬場はスキー場らしいが、乾いた斜面にリフトが寂しげだった。ここで標高約2700m。日差しが強いが、風も強く、半袖では寒いくらい。ドライバーのおっちゃんはさっさと帰ってしまい、愛想の悪いフロントのお姉ちゃんに鍵をもらい、部屋へ。広々三人部屋だった。ここでのミッションはPochoを探すこと。先程のフロントのお姉ちゃんに聞くと、「地下に居る」とのことだったが、行ってみると、「今は居ない」とのこと。最初のミッションからつまずき、ガックシ…。しゃあないので、部屋に戻り、荷物の仕分け。BCのプラザ・デ・ムーラスに行くまで、コンフルンシアというところで2泊する。ここから直接BCに荷揚げするものと、コンフルンシアまで荷揚げするもの、自分で持って行くものの3パターンに分ける。ちなみに荷揚げは馬とロバの合いの子のムーラちゃんがやってくれる。

 

再び地下に行ってみるが、やっぱりPochoは居ない…。でも、代わりにJuliettaというスラっとした女性が「Pochoは居ないけど、私が対応するわ」と言ってくれる。ということで、荷揚げの荷物を渡す。コンフルンシアまで、10s荷揚げしてもらえるが、5sぐらいしかなかった。すると、Juliettaが「水は何L持ったの?コンフルエンシアの水は良くないから、ここで買って、持てるだけ持って行った方がいいわよ」とアドバイスしてくれた。(おかげで私はコンフルエンシアの水は飲まなかったが、実際、まずかったらしい。Juliettaに感謝!)Juliettaはいまいち英語が出来ないが、何とか助けてくれようとする思いが伝わってきて、温かい気持ちになる。でも、これはJuliettaに限ったことでなくて、アルゼンチン女性の特長なのか、これから会う女性スタッフ皆、親切で愛情深くて、感動し続けた。

 

夕飯まで時間があるので、シャワーを浴びる。最後のシャワーなのに、お湯がチョロチョロしか出なくて残念。19時に、ホテルのレストランで夕食。前菜、メイン、デザートを選ぶ。最初はガラガラだったレストランも、続々グループの登山客が集まってきて、皆でワイワイ盛り上がっている。日本人も居ないし、一人なのは私だけ。体の大きい屈強そうな欧米人でさえ皆、グループで登るのに、本当にこんなちっぽけな私に出来るのだろうか?無謀な計画だったのではないのかと急に心細くなってくる。と、メインのでっかいステーキが運ばれてきた。ウェイトレスのお姉さんも、ひとりの私に気を使って声を掛けてくれる。で、ボリューミーな肉と格闘していたら、不安も吹っ飛んだ!この半年、入念に調べて準備して、自分には登れると思ったからここに居るんじゃないか。この状況を楽しんで、何でも前向きに頑張ろう!デザートもキレイに平らげ、広い3人部屋で眠りについた。

  

12/24入山編へ続く