2009 夏合宿 前穂高岳 屏風岩 雲稜ルート
メンバー/岡L、入道


平成21(2009)年8月15日(晴れ)
1 25年前の思い出
 私(入道)は、今年2月に大阪アルデ山岳会に入会した新人(新人といっても歳だけは取っている)だが、実は20歳代のころ2年間だけ某山岳会に所属していた。
 当時、多くの山岳会では、新人教育の一環として「日帰り屏風岩」(「急行ちくま」を利用し、早朝、上高地を出発、屏風岩を登攀し、当日最終の「特急しなの」で帰る)を行っていたが、この日帰り屏風岩で「雲稜ルート」を登った。
 その結果は、登攀は無事終了したものの、最終の「特急しなの」には間に合わず、目標を達することが出来なかった。そのため、「その年の冬山山行(涸沢岳西尾根〜奥穂〜西穂)は、フルマラソンを3時間30分以内で完走しなければ、参加を認めない。」と命じられた苦い思い出がある。

2 新人同士の雲稜ルート
 今回の本チャンは、岡さんとのペアである。岡さんも今年2月に入会した新人で、本チャンの経験はないものの、本会でのフリークライミングbPの実力者である。
 新人2人での屏風岩、会長がよく許可してくれたものだと感謝しつつ、8月15日朝、水2リットル、ハンマー、ジャンピング、ハーケン等、重い荷物を背負い、いよいよ25年振りの屏風岩・雲稜ルート出発である。

3 本チャン
 満天の星空のもと、朝3:40に横尾のテント場を出発する。まだ、暗くヘッドランプを付けて慎重に歩く。前日にT4尾根取付きまで下見に行ったので、冷たい渡渉も難なくこなし、T4尾根取付きに5:00に着く。既に、2パーティーがT4尾根に張り付いていた。2人組は東陵ルート、3人組が雲稜ルートを登るそうである。登攀準備をして5:30に取付く。T4に着くと、前日T4でビバークしていた2人組がおり、3人パーティー、2人パーティーの後での出発となる(6:30登攀開始)。
1P 入道リード
 先行パーティーと間隔を空けて出発したつもりだったが、途中先行パーティーに追いついてしまう。十分なレストを取りながら、全てフリーで終了する。
 25年前、ビレーポイントには、束のようにシュリンゲが掛かっていたが、現在はスッキリしており、確保支点を作るのには便利だ。
2P 岡リード
 後ろからプレッシャーを掛けたつもりは無いのだが、2人パーティーが順番を譲ってくれた。さすが岡さんは、本会でのフリークライミングbPだけあり、難なく、扇岩テラスに到着。先行の3人パーティーが3P目に取付いており、暫く休憩をとる。今年の夏はスッキリしない日が多かったが、ここに来てようやく晴天に恵まれたが、夏の屏風岩は暑い。
3P 入道リード
 A1でスラブを直上する。25年前と比べボルトの数が増えたように感じる。単純なアブミの掛け替えに終始(25年前はアブミの最上段に乗っても次のボルトに届かずボルトに乗って掛け替えた記憶がある)。十分な間隔を空けて取付いたつもりであったが、先行の3人パーティーはアブミに慣れていないようで、またも途中で追いついてしまい、本来のビレー地点より下で確保する。
4P 岡リード
 本来の3Pの確保地点まで、A1でリードする。
5P 入道リード
 ハング下までA1。その後右へ、はがれそうな岩に冷や冷やしながらトラバースし、東壁ルンゼに入る。
6P 岡リード
 東壁ルンゼの草付きのフェースを登る。岩が濡れて、滑りやすい。
7P 入道リード
 傾斜の落ちたルンゼ状スラブを慎重に登る。
8P 岡リード
 脆い草付ルンゼを詰め灌木帯のテラスで登攀を終了(12:40)。お互いの健闘を称え合う。
 その後、ブッシュ帯から屏風尾根に登り、屏風の頭14:20、涸沢へは15:40に着き小休止後、横尾のテント場に17:40に到着した。

4 反省点
 私(入道)が前回(25年前)に登った当時と比べ、登攀技術の進歩(確保等)は著しく、最新技術の完全習得、ザイル操作、クライミングジムでの練習を含めた基礎練習の重要性とともに、走り込みの必要性を再認識させられた山行であった。
文章/入道