2009年12月10-13日 八ヶ岳 ジョウゴ沢、裏同心ルンゼー南稜、石尊稜
メンバー/辰巳L、岡崎


会員のみんな〜〜元気かな〜〜〜? ジョーさんの山行報告始まるよ〜〜〜〜

「ゆっくり♪していってね♪」と、言うわけで恒例のメンバー紹介。

大佐殿:当会の若きリーダー。たぶん女性型サイボーグ。潜水艦の艦長さんではないのであしからず。

二等兵:当会の新人。ソロイスト。たまに頭にピッケルが刺さっているが、トロツキストではない。

12/10(木)ジョウゴ沢アイス

前夜発で夜行高速バスに乗り、一路信州へ、JRとバスを乗り継ぎ美濃戸口へ到着。

9:30 小用をすませ、ポストに登山届けを提出し出発。

10:15 美濃戸山荘にて小休止。木々の阿弥陀岳が見えてくる。

その後、堰堤広場で少し休み、のんびりと赤岳鉱泉に向かって進んでいく。正直、特筆すべきことは何も無い。

そろそろ、樹林帯に飽きてきたころ、木々の間のチョロチョロと流れる沢の向こうに突如岩壁が姿を現す。横岳西面のランドマークである大同心と小同心だ。大佐殿曰く、赤岳鉱泉まで行くと見えなくなってしまうので、ここが撮影ポイントということで、沢を渡る木橋のうえから写真を撮る。

12:15 ほぼ予定通り赤岳鉱泉に到着。早速テントの設営にかかる。今回大佐殿のご命令で二等兵はスコップを用意したのだが・・・テント場に雪がほとんどなく、使用の必要が無い。

二等兵:スコップなんて全然必要ないな〜〜。まったく誰が持って来いって言ったんだか。ねえ、大佐殿?

大佐殿:私だ・・・・・・・  =г(゜д゜)・∵. サクッ

―――――しばらくお待ちください。ただいまピッケルを抜いています。―――――

二等兵:(;*-∀-)フゥッ ヘルメットがなければ即死だった。

二等兵:まったく、テントのペグを忘れるなんて、どんな野郎なんでしょうね〜〜ねえ、大佐殿?

大佐殿:私だ・・・・・・・  =г(゜д゜)・∵. サクッ

―――――しばらくお待ちください。ただいまピッケルを抜いています。―――――

二等兵:(;*-∀-)フゥッ ヘルメットがなければ即死だった。

二等兵:まったく、チャックの壊れたテントを持ってくるなんて、どんな野郎なんでしょうね〜〜ねえ、大佐殿?

大佐殿:私だ・・・・・・・  =г(゜д゜)・∵. サクッ

―――――しばらくお待ちください。ただいまピッケルを抜いています。―――――

二等兵:(;*-∀-)フゥッ ヘルメットがなければ即死だった。

※ちなみにペグは二等兵がこんなこともあろうかと持ってきていた・・・・単純にソロテント用のペグを家に置いて来るのを忘れてたとも言う。

13:00 そんなこんなで無事幕営準備も整い、ジョウゴ沢へバイル慣らしに出発。二等兵にとっては嬉し恥ずかし初アイスである。

13:30 ジョウゴ沢のF1に到着。ジャンケンでトップを決める。

二等兵:勝利wwww〜リード(σ・∀・)σゲッツ!!  (・∀・)スンスンス-ン♪  (#゜Д゜) ノ=г(゜д゜)・∵. サクッ

―――――しばらくお待ちください。ただいまピッケルを抜いています。―――――

二等兵:(;*-∀-)フゥッ ヘルメットがなければ即死だった。

二等兵リードで傾斜の緩いF1を攀じるが、ほとんど凍っていないため、アイスな感じがまったく無い・・OTZ

結局、アイススクリューを使うようなところが見出せず、ノープロテクションで終了。?????って感じ。

十分に氷結した滝を目指して遡行するが、F2、F3共に流芯はザバザバと水が流れ、とても攀じれない。

さらに、上流に進み、氷結した滝を探して右往左往、大滝の方に向かってみたりもするが、本流はダメっぽいので支流へ向かう。氷結した乙女の滝を発見し、その威容に驚かされる。しかし表面が溶けて水が滴っており、とてもアイス初めての二等兵が登れる様な状態ではない。仕方が無いので乙女の滝の右側のルンゼを攀じる。

当然ここでもジャンケンでトップを決める。

二等兵:勝利wwww〜リード(σ・∀・)σゲッツ!!  (・∀・)スンスンス-ン♪  (#゜Д゜) ノ=г(゜д゜)・∵. サクッ

―――――しばらくお待ちください。ただいまピッケルを抜いています。―――――

二等兵:(;*-∀-)フゥッ ヘルメットがなければ即死だった。

さっきのF1はアレだったので、これが実質的に初アイス。V+とのことだが、正直怖いし、ふくらはぎの負荷はハンパじゃない。でも、アイススクリューをキメるのは楽しい。アホの二等兵はこのとき素手でバイルを握っていて、途中で手がかじかんで怖い思いをした。この日ジョウゴ沢に入ったころは日が差していて暖かかったので、手袋をしていなかったのだが、夕方になってくるとガスがかかり急に寒くなってきていた。後にガイドブックを見たところ40mのラインらしいが、そのときはよくわからず、傾斜の緩くなった20mほどのところでピッチを切った。2P目は大佐殿リード。変なところで終了し、アレな立木を支点に懸垂下降。このあたりからガスと風が強くなってきた。右ルンゼの取り付きに降りきったのが16:05、ダッシュで下降する。

なんか、二等兵のザイルがキンクがひどくよく絡む。ザイルの束ね方が悪いのかと思ったが、その後2日目、3日目も同様にキンクが酷かった。エー○ルワイスのロープである。17:00を若干すぎて、ヘッデンで赤岳鉱泉へ帰還。二等兵はド近眼なので、鳥目であるため、比較的早い時間帯からヘッデンを使う傾向がある。

今日の食担は大佐殿、さすが女性型サイボーグだけあって、まっとうな料理が出てくる。二等兵の場合、ソロのときはほとんどお湯入れるだけで完成する食事ばかりなので、大佐殿の粕汁と粕うどんで体が温まる。二等兵の黒霧島はたびたび徴発されつつも、楽しく夜は更けていった。

12/11(金)赤岳鉱泉〜裏同心ルンゼ〜大同心南稜〜大同心稜〜赤岳鉱泉

今日は事前の天気予報からすると、日本海側と太平洋側の両方に低気圧があるいわゆる二つ目玉低気圧が通過する日である。朝のテント場は視界が悪いものの、大荒れという雰囲気は無い。したがって、予定通り3時起床、5時出発とする。

5:00赤岳鉱泉を出発。

5:45裏同心ルンゼのF1に到着。例によってジャンケンでリードを決める。

二等兵:勝利wwww〜リード(σ・∀・)σゲッツ!!・・・・なんかここまでくると神がかってるとしか言いようが無い。

F1⇒二等兵リード、F2⇒大佐殿リード、F3⇒二等兵リード、F4⇒ナメ滝だったせいか気づかずに通過。

F5まであるはずなのに、4つで滝が終わってしまい奇妙に思っていたが、後で調べてみると、F4は通過したものの傾斜が緩いのでザイルを出す必要がなく、その存在に気づいていなかったようだ。

そして最後のF5は大佐殿リード、最後の滝ということで、大佐殿は自分のスーパー高級なシャフトがカーボンファイバー製のバイルを二等兵に貸してくれるとのこと。そこで、2人のバイルを交換する。

セルフのスクリューを1本とって二等兵はビレイ。大佐殿は少し進んで乗り越しの手前でスクリューをキメ中間支点をとる。そして、バイルをキメて乗り越そうとする・・・・F5の妖精さんがいたずらをする・・・・バイルの流れ止めが中間支点のヌンチャクに引っかかって、乗り越すことが出来ない。かなり無理な体勢で固まってしまう。

二等兵:あ〜これはダメかもわからんね・・・・

大佐殿:なにか、色々と一生懸命奮闘している。スクリューを決めようとしてみたり、バイルに体重かけようとしてみたり、しかし、ウンコ座りみたいな体勢ではいかんともしがたい。

二等兵:・・・・・バッチコーイって・・・あッ落ちた。お〜スクリューってちゃんと衝撃にたえるものなんだな〜〜〜

二等兵:大佐殿?ダイジョウブですか?

大佐殿:ダイジョウブデスヨ。ピーッガガッ・・・・ガチョーン・・・ガチョーン・・・ウィーン ガッ

大佐殿:ビレイ解除、よし、登って来い(*^ー゜)b

二等兵:どうやら、治ったようだ。じゃあ、ア○ロいきまーす。

二等兵:ガッ・・・ガッ・・・・ガリッ???あッ大佐殿の超高級なシャフトがカーボンファイバー製のバイルを岩に叩きつけてしまった。雪に隠れていたから仕様が無いんだ。うん。・・・・・Σ (゜Д゜;)

二等兵:助けてください大佐殿、こっちに向けてレーザービーム撃つのやめてください。ちょっと超高級なシャフトがカーボンファイバー製のバイルで岩を全力で叩いてしまっただけじゃないですか。ああ、何でザイル切断しようとしてるんですかヒィー(((゜Д゜)))ガタガタ。ただ超高級なシャフトがカーボ(ry

―――――しばらくお待ちください。重大なエラーが発生しました。―――――

8:30大同心南稜の取り付きに到着。すこしお茶を飲んだりした後、9:00に1Pを二等兵リードで登り始める。やはりルンゼから出ると風雪が激しい。ほとんどコールが聞こえないので、ザイルの引きで符丁を決めて合図をするが、なかなか上手く伝わらない。即席でザイルを組んでいるので、やはり意思疎通が難しい。それでもなんとか3P目には大体上手くなってきた。

11:00ドーム直下のバンドまで到着。

大佐殿:むりぽ(´・ω・`)

二等兵:だめぽ(´・ω・`)?

大佐殿:むりぽ(´・ω・`)

これ以上無理との大佐殿の判断により、ここで帰ることにする。時間的にも体力的にもまだまだ何とかなりそうではあるが、ほっとしたというのも正直なところ。

11:30ウダウダとしつつ名残惜しいが下降開始。

13:00大同心沢の出合まで来た。谷の中は雪だけで風は強くない。時間もあることだし、大同心大滝を観に行こうかという話になる。が、踏み跡が無いのでラッセル。14:00早々に挫折した。というか、大滝に着いても夕方でどうせそんなに遊べない。大同心稜から懸垂で大滝の落ち口までいけるようだが、よく分からないのであきらめる。

その後は赤岳鉱泉で小屋のストーブに当たりながら、時間をつぶす。朝から沈殿している新宿のオッチャンと酒を飲みながら、外を眺めると雪がドカドカ降っている。明日のラッセルがあれな感じで不安だ。

今日の食担は二等兵。アルファ米に牛丼が夕ご飯、お湯を沸かせば出来上がるお手軽料理。料理?先ほど赤岳鉱泉に備蓄されている日本酒をすべて飲みきった大佐殿に二等兵の無頼派はたびたび徴発されつつも、楽しく夜は更けていった。

12/12(土)赤岳鉱泉〜石尊稜〜赤岳鉱泉〜美濃戸口

今日は事前の天気予報からすると、昨日までの二つ目玉低気圧は合体はしないものの、日本海側の低気圧はオホーツク海に到達し冬型が強まる予想。昨日の昼前からドカドカ降っていた雪は夜も降り続きトレースをすべて消し去っていた。予定では3時起床、5時出発としていたが、大佐殿のご命令により3:30起床。案の定、出発も30分遅れてしまう。

5:30赤岳鉱泉出発。夜明け前は空が見えていたが、次第にガスが出る。行者小屋へむかう一般道のトレースもあらかた埋まっているような積雪具合。

6:00急登の手前で一般道を離れて沢筋を登っていく。胸まであるラッセルで難儀する。二等兵は途中までは頑張っていたのだが、人間はサイボーグには勝てないのでおとなしく大佐殿についていく。

8:30出発から3時間かけてやっと下部岩壁に到着。例によってジャンケンでリードを決める。

二等兵:バカな!!負けただと・・・・

大佐殿:見える、私にも見えるぞ、これが人の革新というものか!!

下部岩壁は大佐殿のリードで登る。左の草付き混じりのルンゼ状を登るがなにやら、2手ほど渋い箇所があるようで、下でリードしている二等兵は2回ほどマジ落ちを懸念した。大佐殿は左のルンゼの方が登りやすいといっていたが、あとで調べたところによると、右側のフェースの方が容易に登れるとのことだ。結局、大佐殿が落ちずに登りきる。ふと、見上げると冬型になる前の擬似晴天か、青空が広がり、小同心が陽光に輝いている。

解除のコールが聞こえ、二等兵も登りだす。大佐殿が苦労していたところは外傾のホールドばかりでかなり渋いが、セカンドの気安さで大胆に上がっていく。草付きにバイルが決まるところは安心して登れる。

10:00なんとか下部岩壁を突破、上部岩壁に向かう雪稜も雪がよく付いている。

二等兵:う〜ん、大分疲れてきた・・・OTZ (;´Д`)ハァハァ

大佐殿:大丈夫?

二等兵:・・・(いまなら、何でも言うこと聞いてくれるんじゃね)・・・・(;´Д`)ハァハァ

二等兵:トップで登らせてもらえます?(;´Д`)ハァハァ

大佐殿:いいよ(・∀・)ゝ

正直、コンテで体力的にへばっている私がセカンドで登っていたのだが、正直自分勝手を絵に描いたような二等兵にとって、疲れてるときに目の前をザイルがうろうろするのは我慢できない。他人のペースに合わせるぐらいなら、トップでラッセルした方が何ぼかマシ。というわけで我侭いってトップで登らせてもらうことにする。

11:30上部岩壁の取り付きに到着。ぱっと見で下部が渋そうなのがわかる。

二等兵:え〜大分ヘロヘロですが、上部岩壁のリード権は私にあります。

大佐殿:うむ、散って来い(・∀・)ゝ

二等兵:え〜優しいお心遣いなどは、無いでしょうか?

大佐殿:うむ、散って来い(・∀・)ゝ落ちたら交代な

ギリシャのスパルタ人もびっくりなやさしい声援を受け、何とか上部岩壁も突破。岩の間の雪壁を縫って登ると小さな石碑の立つ石尊峰に飛び出す。

12:50石尊峰到着。予定より大分遅れているので、大佐殿にも焦りの色が見える。今日中に帰阪するにはかなり頑張らないと難しい。何しろ美濃戸口の最終バスは意外と早く終わってしまうのだ。

しかし、この焦りが、更なる事態の悪化を招くのだが・・・・

三叉峰を越えて、少し行くと横岳への登りが見えてくる。しかし、ガスで大同心と小同心は見えない。ここでなぜか横岳の手前で西面への下降を開始してしまう。冷静に考えれば、下降路は大同心と小同心の間、大同心ルンゼの源頭部から出発するはず。小同心と横岳は尾根で続いている。すなわち、横岳を越えてから下降が正解。そして、横岳には南アや八つでよく見る団子三兄弟のような標柱が立っているはずである。

日曜日に仕事があり、リーダーとしての気負いがある大佐殿、ヘロヘロで地図を出す気力も無い二等兵、正しい選択はなされなかった。おそらく二等兵の単独行なら二等兵は地図を確認していたはずだが、そこがパーティー山行の恐ろしいところである。体力的にヘロヘロという負い目があるからついつい依存してしまう。

下降の途中、間違いに気づくがすでにガスで位置を失っている。戻ればいいのだが、やはり山岳会のリーダーといえど登り返すという判断が出来ない。

ルートを探ってうろうろしたせいで、次第に体力が回復した二等兵が言う。たぶん左。

二等兵:たぶん左。

大佐殿:なんで?

二等兵:カン

大佐殿:・・・・・・・・・・

大佐殿はガスがはれないかと大分逡巡していたが・・・・結局、左へ・・・・・

14:30小同心クラック取り付き、石尊峰に着いたときはしなかったのに、下降路が分かったここで固い握手。

大佐殿もよほど緊張していたのだろう。その後、大同心稜を降りなければいけないのに、なぜか大同心ルンゼを下り始めるなど、ボケを連発しつつ、15:00なんとか大同心稜に到達。後は降るだけ。

大佐殿:大同心稜は一人で降りれるよね?

二等兵:オレ捨てられるんだ。・゜・(ノД`)・゜・。ウエエェェン

大佐殿:先に降りてテント撤収しておくからね?

二等兵:。・゜・(ノД`)・゜・。ウエエェェンきっと、ここで見捨てられて凍死するんだ( TДT)

大佐殿:いいから黙って、後から降りて来い!(#゜Д゜) ノ=г(゜д゜)・∵. サクッ

―――――しばらくお待ちください。ただいまピッケルを抜いています。―――――

二等兵:(;*-∀-)フゥッ ヘルメットがなければ即死だった。

15:18大佐殿、赤岳鉱泉着 15:30二等兵、赤岳鉱泉着。

・・・・・・大同心稜下降に30分というのはチャレンジアルパインクライミングにも書いてあるごく普通の所要時間なんだが・・・・やはり大佐殿の機械の体は一味違うな・・・・・・

テント撤収、装備撤収、大急ぎで下降開始、今日中に帰阪はすでに無理だが、走って降りれば、計画書に記載した下山予定時刻までに携帯電話の電波が届くところまで到達できるに違いない。

16:25赤岳鉱泉出発。

17:30赤岳山荘到着。

・・・・所要時間55分・・・・・・一般的に2時間弱かかるはずなんだが・・・・死ぬかと思った・・・・

会長、副会長&リーダー各位に下山報告。何とか山行工程を終了した。

この後、大佐殿のうどんが食いたいだの、赤岳山荘から美濃戸口間はお腹が痛いからゆっくり歩けだの、風呂が入りたいだの、暖かいところで寝たいだのという無理難題を二等兵は何とか解決し、サイボーグにありがちな、睡眠時の呼吸器の作動不良音(イビキとも言う)を聞きながら八ヶ岳山荘の待合室で翌朝の始発バスを待つのであった。

文章/岡崎



最終日、稜線からの下降について一部加筆いたします。
晴天下の登攀からガスがかかりはじめた稜線に出た時点では計画上の時間ギリギリで問題なく下降ができれば最終バスに間に合うかどうかという状況で上の通り確かに若干の焦りを感じていました。ただ、稜線上で地図と記録を数回見直していながら予定していた下降ルートを間違い、そこからの下降継続を選択した理由として以下の3つがあげられます。
@地図読みの甘さ:稜線と降り口の形状を見るだけで、歩く速さから正確な距離感をつかんでいなかった。
A事前の研究不足:稜線上で30m先が見えない位のガスがかかり一瞬晴れたガスの間から見えた小同心南の先鋒を大同心ドームの壁と勘違いしたこと。そしてはっきり断定できないまま本にあった『V級階段状が続くルンゼ』の言葉を頼りにそれらしい場所(小同心ルンゼ)で降りてしまったこと。
B下降継続の判断点:間違ったと気付いた時点で小休止し一瞬ガスが晴れた際に見えた南側の稜線上に顕著なピナクルがあり、入山時に撮った写真と照合した結果今いる位置が判明し下のバンドまででれば雪通しで大同心ルンゼまで出ることができると確信したので下降に至りました。
 悪天候下では少しでも同じような特徴があると正確には間違っていても自分の見たいもの(そうあってほしい願望)として判断してしまうことがあることを知りました。不慣れな下降路で体力と技術力の分からない新人との山行で事前に不明点をゼロにしておかなかった点は今後の課題となりました。
文章/辰己