2009年12月29日〜1月1日 冬合宿
メンバー/本隊:森田L 大内SL 松田 清家 羽賀
      別隊:中嶋L 入道 岡崎

当初山行行程計画
本隊:新穂高温泉〜槍平〜中岳西尾根〜中岳〜槍ヶ岳〜中岳〜南岳〜南岳西尾根〜新穂高温泉
別隊:新穂高温泉〜白出沢出合〜涸沢岳西尾根〜涸沢岳〜北穂〜大キレット〜南岳〜南岳西尾根〜新穂高温泉

12/28夜〜12/29
   辰巳さんの差し入れオロナミンCを皆で飲み、元気はつらつで出発。途中、養老で一息入れ、平湯温泉バスターミナルへ。
ここで松田号を待つと共に、実家から夜行バスで来た、清家君を拾う。3時間程仮眠をとり、6時半に平湯温泉を発ち、新穂高温泉へ。
バスターミナルに登山者用無料駐車場があったので、そこに車をとめる。正面に白銀の峰が見え、来たぁー!、と叫んだのは私だけ?
 8時に駐車場を大内SLを先頭に出発。穂高平の小屋で一息入れる。以前から思っているのだけれど、芳野満彦氏のように一人で山小 屋の番をしながら、ひと冬を過ごしてみたいと思っているのは私だけだろうか?
 さて小屋を出発して、白出沢出合で別隊と別れる。別隊は涸沢岳西尾根から大キレットを越え、大晦日に南岳で本隊と合流する予定で ある。無事大キレットを越える事を祈りつつ、本隊は槍平を目指して進んでいく。13時槍平到着。早速テントの設営に着手する。昨冬 に雪崩事故があった場所らしく、油断はできない。会長の指示で、小屋から少し南東の所にテントを張る。雪を踏み固めて整地しようと するが、ふかふかの雪の為、足裏から雪が逃げてゆく。何度も足踏みをしなければならない。ある程度整ったらスコップで均して、火を 使う中心部は少し盛り上げておく。初めての冬の北アルプス、まだまだ知らないことが多々あるので、今回の合宿で多くを学び盗ろうと 思う。
 テント設営後は、今日の夕食当番である大内SLに夕食の準備をお願いし、松田、清家、羽賀の新人3人は会長に連れられ、明日に備 えてのルート工作兼ラッセル講習を受ける事にする。ワカンを着け、テントの目の前にある中岳西尾根に取り付く。ワカンでのラッセル は足を外側にまわすようにして一歩一歩の歩幅を大きくとって歩く事。その後を2番手3番手が踏み固めていく。後はばてる前に交代す る事。この日は空身なので皆上手に登っていく。特に清家君は隊一番の若手である。トップに立つや凄まじいスピードで登っていく。
負けたー。
 150m程トレースをつけてテント場へ引き返す。この日は会長の鴨肉に始まり、松田さんのお酒、大内SLの鍋地獄と超豪華、皆腹 一杯となりぶっ倒れる。
 その前に定時交信で明日の予定を確認し合う。
この日別隊は涸沢岳西尾根2400mでテント泊。後日聞いた話では、入道氏は寒さが堪えたらしく、暖をとるために雪から水を作り続け、 逆に作りすぎて余ったらしい。よっぽど寒かったのだろう。
別隊は明朝6時30分発で北穂小屋へ、可能なら大キレットを越え南岳迄の予定とし、我々本隊は中岳西尾根を越え、中岳で雪洞泊 の予定を確認する。その後、ラジオで天気予報を聴き、携帯の電波が入ったので日本山岳会から配信されていた(1/17で終了)北アルプ ス南部の予報と、Yahoo天気の天気図で今後かなりの天候悪化と判断。会長が撤退を決める。

12/30
 4時起床、朝食を摂り、6時に定時交信。今後の天候悪化を伝え、撤退を指示。この日別隊は6時30分発で涸沢岳を往復し、その後 槍平で本隊と合流する事になる。我々本隊は槍平にテントを張ったまま、中岳西尾根を行ける所迄行く事にする。
 昨日のトレースの末端迄はスムーズに進み、その後交代でラッセルとなる。雪崩を避ける為に尾根伝いに登っていく。木の周りはワカ ンを着けていてもやたらと潜ってしまい歩きにくい。交代交代で漸く森林限界を越え、ワカンからアイゼンに履き替える。遮る物が無く なったので風を強く感じる。空を見上げれば雲が凄まじい速度で流れて行く。西の空を眺めれば、この世の終わりかと思う様な雲が発生 していた。しかしまだ雪は降っていない。なので、もう少し上へ行ってみようという事になる。岩稜帯の取り付き辺り迄。急傾斜のブッ シュではピッケルを振るい、アイゼンを蹴り込み、一歩一歩登っていく。「足元の雪を踏み抜くな、バランスを崩して滑落するぞ」と、 注意を受けながら、取り付きを目指す。12時2600m付近で時間切れ。この先ピークを3つ越せば中岳頂上ではあるが、今回は此処まで。 少し平らな場所で写真を撮り、しばしの休息。滝谷を眺める。あそこにもいつか行かねばなるまい。しかしここは本当にいい場所だ。
「ここで一泊しましょうか」
「天気が良ければなぁ」と。
 撤退開始。一度だけ懸垂下降をして、後は槍平BCへ一気に駆け下りる。途中から雪が降り始める。予報通り昼過ぎから崩れ始め、明日 からは大荒れになりそうだ。
 テントで装備を外していると、別隊の岡崎氏が先着、中嶋L、入道氏も少し遅れて到着。全員が揃ったところで宴が始まる。今夜は松田 氏の具沢山煮込みラーメンと中嶋L、岡崎氏のウィスキー等々。明日下山なので、荷を軽くするため、色々と出てくる。話は何を話したか ほとんど忘れたが、一つ記憶に残っているのは、松田氏が今回の冬合宿用に購入した「業界初!完全防水」を謳った手袋が今一つだという 事でえらい盛り上がった事だ。
 腹が膨れたところで、明朝9時下山開始と決めお開きとなる。

12/31
 朝食は昨日の残ったスープに餅を入れて食べる。足りなければ行動食を各自で摂る。
9時下山開始。慣れない新人はワカンを着けて歩く。昨日からの降雪の為か、それとも単に道を外れたからなのか、すっかりトレースが消 えている。先行パーティーがラッセルしながら右上へ右上へと進んでいく。途中でラッセルの交代を申し出て先頭に立つ。会長の「右下へ 向かえ」の指示の下、清家君が走り下りて行く。若いっていいなぁ〜。
 下りて行くとトレースが見つかる。後はそれに沿って下山。雪崩そうな所は間隔をあけて速足で通り過ぎる。下山ルートでも時々事故が 起こっているらしい。油断は禁物だ。13時頃駐車場に到着。全員無事下山する。平湯温泉バスターミナルで岡崎氏と清家君を降ろし、観 光案内所で民宿を探してもらう。宿で紅白を見て年を越し、翌日は高山の酒蔵巡りをして土産を買って帰阪となる。

 今回の冬合宿は雪山でのテント設営、ラッセル、雪質の違い、寒さ、天候等々学ぶ所が多かった山行きである。計画通り進めれなかった 点で、消化不良を起こしてはいるが、良い経験が出来たと思う。只、惜しむらくは、昨年まで44年間毎年山で正月を迎えていた会長の記 録が45年目にして止まってしまった事である。私も今年は下界で正月を迎えたので、来年からスタートすることになる。60歳迄毎年行 ったとしても27回。会長には遠く及ばないなぁ。
 
 最後に森田会長を初め大内L、中嶋L、入道氏、松田氏、岡崎氏、清家君ありがとうございました。辰巳L差し入れありがとうございま した。櫻井君見送りありがとう。
 また今度時間をつくってリベンジしたいと思っているのは、やはり私だけだろうか?

文章/羽賀