本匠、雌鋒岳

期間 2019年4月27〜29日
メンバー 今岡(か) (L)、今岡(ゆ)、船戸(記)
カテゴリ フリークライミング、アルパイン無雪期
ルート 本匠
・アッチャンフェイス(10a)
・ブラック&ホワイト(11c)
・エンジェルタワー(11a)、他

雌鋒岳
・大長征ルート
行程 ・4月27日 8:00小半森林公園キャンプ場→9:30魚道エリア→15:30小半森林公園キャンプ場
・4月28日 6:00小半森林公園キャンプ場→8:30鹿川キャンプ場→9:30大長征コース取り付き→坊主の岩頂上15:30→鹿川キャンプ場17:00
・4月29日 8:00小半森林公園キャンプ場→8:10遊歩道エリア→13:00小半森林公園キャンプ場

詳細

4月27日(曇り後晴れ)

前日夜の内に、大阪を出発して一路九州へ。今回は流石に一人で運転するのはしんどかったので、今岡さんと交代しながら順調に進む。

宿泊地の小半森林公園キャンプ場には、早く着きすぎて誰もいなかった為道の駅で、時間を潰してから再度チェックインし直した。

その後は日当たりの良さそうな魚道エリアに移動。微妙にツルツルした石灰岩に戸惑いながらも時間の許す限り各ルートに取り付いた。

今岡さんはブラック&ホワイト(11c)を2撃し、流石の貫録。私はエンジェルタワー(11a)に取り付くも各駅停車で見事に返り討ちに。被ったルートは相変わらず苦手で、もっと練習しなければいかんなぁ・・・

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<▲アッチャンフェイス(10a)>

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<▲ブラック&ホワイト(11c)>

4月28日(晴れ)

この日は延岡の鋒岳にてマルチピッチを計画。朝から出発するも、船戸が降りるICを間違えてタイムロス・・・(延岡JCTより九州中央道を終点まで進むのが一番早い)その後もすれ違い困難な山道を進み、九州マルチピッチの聖地、比叡山を通り越し奥へ奥へと進むと、登山口のある鹿川キャンプ場へ。

山奥にあるとは思えない、開けた綺麗なキャンプ場でここに泊まり込んで山々を巡るのも楽しそうだなぁと思う。

取り付きは、だいたい30分ほど登れば看板が出てきて、すぐ分かる。目の前に広がるスラブ壁は圧巻の一言・・・テンションも上がってきてウキウキで準備する。

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<▲鋒岳全景(雌鋒岳)>

1ピッチ目(有香リード)
快適なスラブだが、結構長い。見た目では近そうに見えるが、気が付けば40m以上ザイルが出ていた。そして中間支点はたったの2本。まだ傾斜が緩いので、プレッシャーは感じないがここはまだ序章だった・・・

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2ピッチ目(友香リード)
またまた快適なスラブ。途中の立木で友香さんは終了点を作っていたが、その奥にしっかりしたペツルがありました。

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3ピッチ目(今岡リード)
右上の立木に向かってトラバース気味に進む。ここも支点は1本くらいしか無かった。フォローでも滑るとジャイアントスイングになるので要注意。

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4ピッチ目(船戸リード)
ここから長いトラバースが始まる。さして難しくも無いはずだが、かなりのランナウトと高度感のせいで思った以上に神経を使ってしまった。ここだけは30m程度伸ばした時点で終了点に到達。先が良く分からないので、ここで一度切る(次の支点まで40m近く伸ばすので、ここで切って正解だった)。

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5ピッチ目(船戸リード)
ここも中間支点が非常に少ない(1か所だけだったと思う)、何てこと無いトラバースだと分かっていても、空中ブランコになるのが怖いので自ずと慎重になっていく・・・

6ピッチ目(今岡リード)
トラバース部分の核心ピッチ。詳細は書くのを控えますが、スラブでまさかの下降が必要になる・・・そのくせホールドは細かいカチ。リードの今岡さんも思わず逡巡して、しばらくルート確認に時間を費やしていた。フォローで行った私もかなり怖かった(腰が引けてた、と有香さんに笑われてしまった)。

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7ピッチ目(有香リード)
今回のマルチ中最長区間。60mいっぱいまでロープを伸ばす。ルート自体は、途中から幅のあるバンドに乗っかるので快適そのもの。滝の真横までロープを伸ばすのが正解。終了点はかなり広いので一息付ける。

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<▲7P目終了点より>

8ピッチ目(今岡リード)
ここから再び頂上に向けて登り始める。ガイドブックなどを見ると「簡単な2ピッチ」などと書いていたが、言うほどに易しくはない。とにかくスタンスが非常に少なく、現地で「猫の乳首」
などと揶揄される非常に細かい岩の粒子を拾いながらのクライミングになる。中間支点も2つ程しか無い為、リードは絶対に落ちてはいけないピッチ。今岡さんが唸り声を上げながら突破してくれた。

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9ピッチ目(船戸リード)
核心その2。前ピッチ以上に粒子が細かくなった印象。事前にキチンとオブザべして、足の順番なども考えておかないとかなり苦しい。ここも50mほど延ばすが中間支点がまるで無くA0もテンションも許されない(というか出来ない)最後は坊主ノ岩基部の終了点まで伸ばしてピッチを切る。

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<▲最後は素晴らしい高度感>

10ピッチ目(友香リード)
終了点から頂上に出るべく、三ノ坊主と二ノ坊主間のクラックまで歩いて移動・・・のはずが、ここで船戸がチョンボして手前の一ノ坊主と二ノ坊主間のクラック真下でピッチを切ってしまう。古いピトンなどが見えていた為、誘導されてしまった・・・

11ピッチ目(今岡リード)
今岡さんが取り付くも、トポではW級のはずだが難しすぎる、との話を受けここでようやく間違いに気づく。ヌンチャクを回収後、改めて奥の正規ルートに復帰。お手数お掛けしました。

10ピッチ以上の長大なルートをこなし、結構強い風に後半は震えながら到着した頂上からは比叡山など九州の山々が一望出来て充足感に満ち足りた瞬間だった。今岡さんはわざわざ担いできたドローンで写真を撮影してくれて、実にいい絵が撮れました。

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<▲素晴らしき光景>

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<▲スラブ三昧でした!>

備忘録

4月29日(雨)

この日はあいにくの雨。遊歩道エリアはどっ被りなので、雨でも登れるだろうという事で取り付いてみるが、前日に今岡さんが作ってくれたカレーが美味すぎて、食い過ぎた影響か体が重い。適当な課題に取り付くもいまいち体も動かないので昼前には撤収。

その後は大分市内でとり天を食べたり、別府温泉に入ったり、渋滞に巻き込まれてフェリー出港の5分前に滑り込んだりと最後まで気の抜けない旅の末、フェリーで神戸に向かって無事出航。当然、船内では3人で飯も食わずに飲んだくれておりました。

今回は想定外の事も色々ありましたが、九州の岩場を満喫出来ました。ただ、まだまだ行きたい山、触りたい岩が残っています。

是非とも次の機会を作って、再上陸したいと思っています。今回、お誘いくださった今岡ご夫妻、ありがとうございました!!

文章:船戸